NISAで得をする理由は、ひとことで言えば投資で出た利益に日本でかかる税金(所得税・住民税)がゼロになるからです。NISAという制度そのものが利益を生むわけではありません。値上がりや配当で利益が出たときに、ふつうなら差し引かれる約2割の税金がかからない、というのが中身です。
この記事では、その「約2割」がいくらになるのかを具体的な金額で示し、どんな条件で非課税になるのか、逆に得にならないのはどんな場合かまで、金融庁・国税庁の公表資料をもとに整理します。制度の内容は2026年9月26日時点で確認したものです。
NISAがないと、利益の20.315%が税金になる
株や投資信託で利益が出ると、ふつうの口座(特定口座・一般口座)では税金がかかります。上場株式等の値上がり益(譲渡益)と配当・分配金にかかる税率は、原則として合わせて20.315%です。配当は確定申告で総合課税を選ぶこともでき、その場合は申告の方法によって最終的な税額が変わります。この記事では、源泉徴収で差し引かれる原則の20.315%で計算しています。
| 税の種類 | 税率 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | 0.315% |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 20.315% |
2027年分からは所得税の内訳が変わり、防衛特別所得税0.15%が加わる一方で、復興特別所得税が0.165%に下がります。合計の20.315%は変わりません。
NISA口座の中で出た利益は、この所得税・住民税がすべて非課税になります。
利益の額ごとに、差はいくらになるか
利益が出たときに、ふつうの口座とNISA口座で手元に残る金額を比べると、次のようになります。税率20.315%をそのまま掛けた計算です(円未満は切り捨て)。
| 出た利益 | ふつうの口座でかかる税金 | NISA口座でかかる税金 | 差 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 20,315円 | 0円 | 20,315円 |
| 50万円 | 101,575円 | 0円 | 101,575円 |
| 100万円 | 203,150円 | 0円 | 203,150円 |
| 500万円 | 1,015,750円 | 0円 | 1,015,750円 |
配当や分配金も同じです。たとえば国内の上場株式から年に10万円の配当を受け取る場合、ふつうの口座では20,315円が差し引かれ、NISA口座では10万円がそのまま残ります(受け取り方の条件は、あとで説明します)。なお、投資信託の分配金のうち元本の払い戻しにあたる部分(元本払戻金・特別分配金)は、ふつうの口座でももともと税金がかかりません。
NISAの得は「利益が出たときに、その約2割を失わずに済む」ことです。差は、売ったり配当を受け取ったりして確定した利益が大きいほど大きくなります。長く持って利益が積み上がった場合には、結果として差が大きくなることがあります。
2024年からのNISAで決まっていること
2024年に始まった今のNISAは、次のような制度です(金融庁「NISAを知る」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間に投資できる額 | つみたて投資枠 年120万円、成長投資枠 年240万円(合わせて年360万円) |
| 生涯で非課税で持てる額 | 1,800万円(買ったときの金額で数える)。そのうち成長投資枠で使えるのは1,200万円まで |
| 非課税で持てる期間 | 無期限 |
| 口座を開ける期間 | 期限なし(恒久化) |
| 対象年齢 | その年の1月1日時点で18歳以上の日本の居住者など |
以前のNISAは、非課税で持てる期間に5年や20年の期限がありました。今のNISAでは期限がなくなり、売るタイミングを期限に合わせる必要がなくなっています。
売ったあとは、枠が翌年に戻る
NISAで買った商品を売ると、買ったときの金額(簿価)の分だけ、翌年以降に生涯の枠(1,800万円)が戻ります。売ったときの金額や、出た利益の額で戻るわけではありません。また、戻った枠で年間の投資枠(年360万円)が増えるわけでもありません。
非課税になるための条件
上場株式の配当は、受け取り方を選ぶ必要がある
NISA口座で持っている上場株式の配当を非課税にするには、証券会社の口座で受け取る方式(株式数比例配分方式)を選んでおく必要があります。配当を郵便局などで受け取る方式や、登録した銀行口座に振り込む方式のままだと、NISA口座の株でも配当に税金がかかります。受け取り方式は、証券会社の設定画面で確認できる項目のひとつです。
NISAで非課税になるのは日本でかかる税金です。外国株式などの配当は、その国で税金が差し引かれてから届くことがあり、この外国の税金はNISAでも差し引かれたままです。また、NISA口座の配当については、原則として外国税額控除(外国で払った税金を日本の税金から差し引く仕組み)も使えません。
買える商品に決まりがある
- つみたて投資枠は、金融庁の基準を満たす投資信託・ETFだけが対象です。主な基準は、信託期間が無期限または20年以上、毎月分配型でない、買うときの手数料がゼロ、信託報酬が低い、などです。2026年9月24日時点の対象は371本です(金融庁「つみたて投資枠対象商品」)
- 成長投資枠は、上場株式や投資信託などが対象ですが、整理銘柄・監理銘柄、信託期間20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、高レバレッジ型の投資信託などは対象外です
NISA口座は1人1つ
NISA口座を開けるのは1人1口座、1つの金融機関だけです。つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関に分けることもできません。金融機関を変えるのは年単位で、その年にすでにNISA口座で買っていると、その年のうちには変えられません。
得にならない場合もある
NISAの非課税は、利益が出たときにだけ意味があります。次のような点は、制度を使う前の確認項目です。
- 損をしたときは、NISAの得はゼロ:利益がなければ、もともと税金はかかりません。NISAでも元本は保証されず、値下がりすれば損失が出ます
- NISAの損失は、ほかの口座の利益と相殺できない:ふつうの口座なら、ある株の損失を別の株の利益と相殺して税金を減らせます(損益通算)。NISA口座の損失は税金の計算上「なかったもの」とされ、相殺も、翌年以降への繰り越しもできません
- 売った枠が戻るのは翌年以降:同じ年のうちに売って買い直すと、その分だけ年間の枠を使います
- NISA以外で出た利益の税金は、これまでどおり:ふつうの口座での税金の仕組みは投資の税金の基本で整理しています
- 以前のNISAからは移せない:2023年までの一般NISA・つみたてNISAで買った商品は、今のNISAに移すことはできません。旧制度の非課税期間が終わるまではそのまま持てます
2026年に決まった変更
- 2026年4月から:つみたて投資枠の対象になる指数に、読売株価指数とJPXプライム150指数が加わりました。定期的に売却して受け取るサービスの手数料も認められるようになりました(金融庁の告示改正)
- 2027年1月から:0〜17歳もつみたて投資枠を使えるようになります。年60万円まで、生涯で600万円までで、成長投資枠は使えません。18歳になると通常の枠へ自動で移ります。18歳になる前の引き出しは原則として制限され、12歳以降は本人の同意と、教育費・生活費などの決められた用途がある場合に限られます(令和8年度税制改正)
数字で見るNISAの利用状況
金融庁の調査では、2025年12月末時点でNISA口座は2,821万口座、NISAでの買付額は累計71兆円でした(2026年7月3日公表)。
この記事のまとめ
- NISAで得をする理由は、利益にかかる20.315%の税金がゼロになることです。利益100万円なら203,150円の差になります
- 年360万円・生涯1,800万円まで、期限なしで非課税のまま持てます
- 上場株式の配当は、証券会社の口座で受け取る方式にしないと非課税になりません
- 損をしたときにはNISAの得はなく、損失をほかの口座の利益と相殺することもできません
リスク・注意点
NISAは税金の扱いを決めた制度で、投資の損益そのものは変わりません。投資信託や株式は値動きがあり、元本は保証されません。どの商品を選ぶか、いくら投資するかによって、利益が出ることも損失が出ることもあります。税金の扱いは個人の状況で変わることがあるため、個別の判断は税理士や金融機関の窓口で確認することになります。
投資全般のリスクの種類は投資のリスクについてにまとめています。
出典(2026年9月26日確認)
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト よくある質問」
- 金融庁「つみたて投資枠対象商品」
- 金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点)」
- 金融庁「つみたて投資枠の対象商品に関する告示改正」
- 国税庁 タックスアンサー No.1535「NISA口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」
- 国税庁 タックスアンサー No.1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- 国税庁「令和8年度 源泉所得税の改正のあらまし」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
※本記事は投資に関する一般的な知識の提供を目的としたもので、特定の商品・サービスの利用や売買を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。
まずは、投資の基礎を無料で学ぶ
AGITOアプリで、解説記事・用語集・市場情報を確認できます。学習コンテンツと市場情報は無料です。
記事の内容に誤りを見つけた場合は、info@agito-investor.com までお知らせください。確認のうえ訂正します。









コメント