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投資詐欺で振り込んだお金は取り戻せる?振り込め詐欺救済法の「被害回復分配金」が支払われる条件と、返金をうたう二次被害の見分け方【2026年版】

2026 10/10
投資の安全リテラシー
2026.09.28 2026.10.10
監修:佐藤 翔(証券会社に約20年勤務)
運営:株式会社シンセイサービス(AGITO編集部)/運営者情報・編集方針

編集部メンバー:なってぃ|AGITO編集部(Xプロフィール)

投資詐欺でお金を振り込んでしまったあと、「取り戻す方法はあるのか」と調べる人は少なくありません。公的な仕組みとしては、振り込め詐欺救済法にもとづいて、振込先の口座に残っているお金が被害者に分配される制度があります。ただし、返ってくるのは口座に残っていた分だけで、全額が戻るとは限りません。

もうひとつ知っておきたいのが、「失ったお金を取り戻します」と近づいてくる相手による二次被害です。金融庁・消費者庁・国民生活センターは、被害回復をうたって手数料や新しい投資を求める手口について、くり返し注意喚起を出しています。金融庁は2026年9月1日にも、不動産特定共同事業(投資家から集めたお金で不動産取引を行い、収益を分配する事業)に関連して、被害回復を装った詐欺への注意喚起を公表しました。

この記事では、公的な制度で何が返ってくるのか、どんな条件があるのかを整理したうえで、二次被害の典型的な誘い文句と確認項目をまとめます。内容は2026年9月28日時点で各機関の公表資料を確認したものです。

目次

公的な制度でお金が返ってくる仕組み

振り込め詐欺救済法とは

正式名称は「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」です。金融庁の説明では、振り込め詐欺などの被害者に対して、振込先の預金口座の残高を原資に「被害回復分配金」を支払う手続きを定めた法律です。

流れは次のとおりです。

  1. 被害者が警察と振込先の金融機関に連絡する
  2. 金融機関が、犯罪に使われたと疑うに足りる相当な理由があると認めた口座を凍結(取引停止)する
  3. 口座の名義人の権利を消滅させる手続き(失権手続)が行われる
  4. 口座の残高を原資に、被害者へ分配金を支払う手続きが行われる

振込先口座について公告された失権手続・支払手続の状況や、分配金の申請期間は、預金保険機構の「振り込め詐欺救済法に基づく公告」のウェブサイトで確認できます。

SNS型投資詐欺も対象になる

金融庁は、対象になるのは「預金口座等への振込みが利用された詐欺等」の被害だと説明しています。そのうえで、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺も、預金口座等への振込みで被害にあった場合は対象になると明記しています。未公開株の購入にかかる詐欺やヤミ金融の被害も、振込みが使われていれば対象になり得ます。

SNS型投資詐欺の典型的な流れはSNS型投資詐欺の手口で解説しています。

返ってくる金額と期間の目安

公的な資料から読み取れる条件は次のとおりです。

項目内容
原資凍結された振込先口座の残高。犯人が引き出したあとの分は含まれない
金額口座の残高が上限。被害者が複数いて被害額の合計が残高を超える場合は、各人の被害額に応じて按分
支払われない場合口座の残高が1,000円未満のときは支払いなし
申請期間支払手続の開始の公告の翌日から30日以上(政府広報オンラインでは、失権手続が約60日、そのあとの支払手続が約90日と案内)
支払いまでの時間金融庁の説明では、少なくとも半年以上かかるのが一般的
申請先振込先の金融機関(振込みをした側の金融機関から提出することも可能)

申請には、所定の申請書、本人確認書類、振込明細書など振込みの事実がわかる資料が必要です。金融庁によると、振込明細書をなくした場合でも申請はできますが、振込みの内容を金融機関に説明する必要があります。

申請期間を過ぎると分配金は受け取れません。振込先の金融機関に被害を申し出た人には、金融機関から個別に申請期間が連絡されます。

公表されている「支払率」は、被害額に対する返金率ではない

預金保険機構は、被害回復分配金の「支払率」を年度ごとに公表しています。

年度支払手続が終わった口座の残高の合計被害者への支払の合計支払率
2024年度(令和6年度)約56.0億円約49.1億円87.7%
2023年度(令和5年度)約27.4億円約24.1億円88.0%

※各年度に「支払手続が終了した旨の公告」が出た口座の集計です。その年度に起きた被害や、その年度に凍結された口座の集計ではありません。

この数字は「被害額のうち9割近くが戻った」という意味ではありません。割合の分母は、支払の手続が終わった口座に残っていたお金です。口座に残っていたお金のうち、支払の対象と認められた被害者に支払われた分が約9割で、残りは、資料で「預金保険機構への納付予定額」として集計されている分です(2024年度は約6.9億円)。

被害額の側の数字も並べておきます。警察庁によると、警察が認知した2024年(令和6年)の特殊詐欺の被害額は718.8億円、SNS型投資詐欺の被害額は871.1億円でした。集計の期間(年度と暦年)も対象もそろっていないため、分配金の支払額で割って「返金率」を出すことはできず、個人がどれだけ取り戻せるかもこの統計からは判断できません。

受け取れる額が少なくなる・受け取れない理由

制度上、分配金が被害額より少なくなる、または支払われない理由には、次のようなものがあります(これだけではありません)。

  • 口座の残高がそもそも少ない … 原資は、制度の対象になった口座に残っていたお金です。犯人が引き出したあとの分は含まれません。直接の振込先からお金が移されていても、移し先の口座が条件を満たせば対象になる可能性があります
  • 同じ口座に振り込んだ被害者がほかにもいる … 金融機関が認定した被害額(すでに受けた填補・賠償の額などを差し引いた額)の合計が残高を超えると、残高をその認定額に応じて按分します
  • 残高が1,000円未満 … 支払手続は行われず、残高は預金保険機構に納められます
  • 申請期間に申請していない … 通常の申請は期間内に行う必要があり、申請しなかった人は分配の対象になりません
  • すでに全額の補償・賠償を受けている … 犯罪で失った財産の全部について填補や賠償を受けた場合は、支払を受けられません

金融庁のQ&Aには、按分の例が載っています。

被害者被害額申請分配金
Aさん50万円しない支払なし
Bさん150万円した100万円
Cさん300万円した200万円

被害額の合計は500万円、そのうち200万円が引き出され、口座に残っていたのは300万円という例です。申請して支払の対象と認められたBさんとCさんの被害額の合計450万円が残高の300万円を超えるため、300万円を150:300で分けて、100万円と200万円になります。

決定書はいつ届く?申請してから支払までの流れ

  1. 口座の凍結と、債権消滅手続の開始の公告 … 口座の持ち主が権利を主張できる期間として、60日以上が設けられます。その間に届出などがなければ預金等の権利が消え、その旨も公告されます
  2. 支払手続の開始の公告 … 申請期間は公告の翌日から始まります。法律で決まっている最低の期間は30日で、預金保険機構は90日の期間を設けていると説明しています。個別の期限は、その口座の公告に載ります
  3. 申請期間が終わったあと … 振込先の金融機関が、申請した人が支払を受けられるかどうかと、認定する被害額を決めます。決定のあと、金融機関は速やかにその内容を書面で申請した人に送ります(これがいわゆる決定書です)
  4. 分配金の額の決定と支払 … 決定がそろったあと、口座の残高に応じて支払額が決まります。金額は個別に連絡され、金融機関が作る「決定表」にも記載されます

申請してから決定の通知が届くまでの決まった日数は、確認できた公的な資料には示されていません。金融庁は、被害に気づいて連絡してから実際に支払を受けるまでの一般的な目安を少なくとも半年以上としています。自分の分の時期の問い合わせ先は、振込先の金融機関です。決定表は、申請した人や代理人が所定の閲覧請求書(様式第四号)を出し、本人確認資料などを示せば見ることができますが、写しを取ることは認められていません。

申請書(被害回復分配金支払申請書)の書き方

申請書は「被害回復分配金支払申請書(様式第一号)」という決まった様式で、必要事項を書いて資料を添え、振込先の金融機関に出します。主な記入欄は次のとおりです。

欄書くこと
申請人情報氏名・住所・電話番号・生年月日など
代理人情報弁護士などの代理人が申請する場合だけ
公告番号(12桁)振込先の口座に付けられた番号。預金保険機構の公告に載っています
被害に遭われた状況犯人からの連絡方法、振り込んだお金の名目、警察への被害届(受理番号)の有無など
被害額と内訳振込金額の合計と、振込みをした年月日・金額を1回ずつ
振込先の口座名義人犯人の名前や団体名がわかる場合は、あわせて書く
分配金の受取口座分配金は基本的に口座への振込みで支払われるため、受け取る口座を書く

主な添付資料は、本人確認資料と、振込明細書など振込みをしたことがわかる資料です。必要な資料の詳細は、申請先の金融機関の案内に載っています。代理人が申請する場合は、代理権を証する資料も要ります。振込明細書をなくしていても申請はでき、その場合は振込みの内容を金融機関に十分に説明する必要があります。記入例は、金融庁の「振り込め詐欺救済法に関するQ&A」の後半に載っています。

自分の振込先が公告されているか調べる方法

預金保険機構の「振り込め詐欺救済法に基づく公告」の専用サイトで調べられます。定期の公告は原則として月2回、1日と16日(休日の場合は翌営業日)に出て、このほかに随時の公告もあります。口座番号などがわかっていれば検索で、わからなければ公告の一覧から探せます。支払手続の開始の公告では、振込先の口座の残高や申請期間を確認できます。

時間との勝負になる理由

政府広報オンラインは、犯人が口座からお金を引き出してしまうと、分配金で取り戻せるお金はほとんどなくなると説明しています。金融庁も、警察と振込先の金融機関への連絡を最初に挙げています。振り込んだ直後に連絡できるかどうかが、口座に残高が残るかどうかに直結する、というのがこの制度の構造です。

振込み以外で送ったお金の場合

この制度の原資は、あくまで「振込先の預金口座に残っているお金」です。暗号資産で送った場合や現金を手渡した場合は、預金口座への振込みという条件に当てはまらないため、この分配金の仕組みには乗りません。その場合も、警察への相談や、消費生活センター・弁護士会への相談といった窓口は変わりません。

ほかの公的な制度

金融庁は、別の制度として法務省の「被害回復給付金支給制度」も案内しています。詐欺などの犯罪で得た財産が、刑事裁判の確定によって犯人から没収・追徴された場合に、所定の手続きで被害者に支給される制度です。犯人が特定され、裁判が確定したあとの話なので、振り込め詐欺救済法とは使える場面が異なります。

「返金します」と近づく二次被害

公的機関が挙げている誘い文句

消費者庁は、投資系トラブルにあった人が、次のような形で被害回復を持ちかけられ、金銭の支払いを求められたという相談が見られると公表しています。

  • 返金を受けるには、別の投資商品を購入する必要があると言われる
  • 国の救済制度によって返金を受けられると言われる
  • 返金の手続きを代行すると言われる

金融庁が2026年9月1日に不動産特定共同事業法に関連して出した注意喚起でも、投資で損失を受けた人に電話をかけ、被害回復の条件として別の投資商品の購入や手数料の支払いを求めるケースが挙げられています。あわせて、行政処分の報道などに便乗して、解約や返金の交渉を代行する条件として金銭を請求するケースも示されています。

さらに金融庁の相談室は、被害回復をうたって接近してくる者の中に詐欺グループの一員がいて、さらなる被害にあった事例が寄せられていると説明しています。最初の詐欺で名簿に載った人が、別の名目でもう一度狙われる構図です。

公的機関をかたる連絡

国民生活センターは、同センターやその職員をかたるメール・はがき・電話に注意を呼びかけています。同センターによると、相談したことのない人に対して、メールや電話で返金や示談金、申請の手続きについて連絡をとることはないとしています。実際に、「詐欺サイトから押収した顧客情報にあなたのアドレスがあった」「払戻し金を返金している」といった内容で、ロゴを使った偽サイトへ誘導する事例が紹介されています。

二次被害を見分ける確認項目

公的機関の注意喚起に共通する特徴を、確認項目として並べると次のようになります。

  • 相手から先に連絡が来たか:自分から相談していない相手が、被害を知っている前提で連絡してくる
  • 先にお金を払う話が出るか:調査費用・手数料・保証金・税金など、返金の前に支払いを求められる
  • 別の投資の話が混ざるか:「返金を受けるには、この商品の購入が条件」といった形で新しい投資に誘われる
  • 公的機関の名前を出すか:国・金融庁・国民生活センター・弁護士などを名乗るが、公式の連絡先から確認すると話が通じない
  • 急がせるか:「今日中に手続きしないと返金の対象から外れる」など、考える時間を与えない
  • 「必ず取り戻せる」と言うか:公的な制度でも全額は保証されておらず、残高しだいで支払いがない場合もある

振り込め詐欺救済法の分配金は、振込先の金融機関を通じて手続きするもので、分配金の申請そのものに第三者への手数料はかかりません。自分で選んだ弁護士などに相談・代理を依頼する費用とは別の話で、連絡してきた相手が「公的な制度の手続き」として前払いを求める場合は、公的な制度の流れとは食い違っていることになります。

詐欺全体の型は投資詐欺の手口とは?主な型と見抜き方で、勧誘への対応は怪しい勧誘の断り方でまとめています。

被害に気づいたときの相談先

金融庁・消費者庁が案内している窓口は次のとおりです。

窓口内容
警察(最寄りの警察署、警察相談専用電話「#9110」)詐欺の被害の相談。振込みで被害にあった場合、金融庁は警察と振込先の金融機関への連絡を挙げている
振込先の金融機関口座の凍結と、被害回復分配金の申請
消費者ホットライン「188」最寄りの市区町村・都道府県の消費生活センターにつながる
各地の弁護士会金融庁は、返金などを求める場合の相談先として消費生活センターと並べて挙げている
金融庁 金融サービス利用者相談室0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)。受付は平日10時〜17時

金融庁は、口座情報を渡してしまった場合は取引先の金融機関へ、クレジットカード情報を渡してしまった場合はカード会社へ連絡する、といった個別の窓口も案内しています。アカウントや口座を守る基本は口座と個人情報を守るにまとめています。

この記事のまとめ

  • 振込みで被害にあった場合、振り込め詐欺救済法にもとづき、振込先口座に残っているお金が分配される可能性があります。SNS型投資詐欺も、振込みが使われていれば対象です
  • 返ってくるのは口座の残高が上限で、残高が1,000円未満なら支払いはありません。支払いまで少なくとも半年以上かかるのが一般的です
  • 「返金します」「国の制度で取り戻せる」と先に連絡してきて、手数料や別の投資を求める相手は、公的機関が注意喚起している二次被害の典型です
  • 公的な分配金は振込先の金融機関を通じて手続きするもので、申請そのものに第三者への手数料はかかりません

リスク・注意点

この記事は、公的機関が公表している制度と注意喚起を整理したもので、個別の事案で返金が受けられるかどうかを示すものではありません。分配金が受け取れるか、いくら受け取れるかは、口座の残高や被害者の数、申請の時期によって変わります。個別の事案は、警察・振込先の金融機関・消費生活センター・弁護士会などの窓口で扱われます。

二次被害は、最初の被害で「取り戻したい」という気持ちが強いほど入り込まれやすい手口です。連絡してきた相手の名乗りだけでは本物かどうか判断できないため、公式サイトに載っている連絡先から確認し直すことが確認のポイントになります。そもそも出金できないトラブルの仕組みはポンジ・スキームとはでも解説しています。

出典(2026年9月28日確認)

  • 金融庁「被害回復等を装った詐欺(二次被害トラブル)にご注意ください!(不動産特定共同事業法関係)」(令和8年9月1日) https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/20260901.html
  • 金融庁「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」 https://www.fsa.go.jp/policy/kyuusai/furikome/index.html
  • 金融庁「投資詐欺等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」 https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/advice03-2.html
  • 消費者庁「投資系トラブルの二次被害にご注意ください!」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_045/index.html
  • 国民生活センター「国民生活センターをかたる電話やメール等にご注意ください!」 https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/kokusen_katari.html
  • 政府広報オンライン「『振り込め詐欺救済法』に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります。」 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201108/2.html
  • 預金保険機構「振り込め詐欺救済法に基づく公告」 https://furikomesagi.dic.go.jp/
  • 預金保険機構「2.令和6年度に実施した主要3公告について」(2026年10月10日確認) https://www.dic.go.jp/yokinsha/page_2025_072.html
  • 預金保険機構「2.令和5年度に実施した主要3公告について」(2026年10月10日確認) https://www.dic.go.jp/yokinsha/page_2024_041.html
  • 預金保険機構「振り込め詐欺にあったら」(2026年10月10日確認) https://www.dic.go.jp/yokinsha/page_000204.html
  • 金融庁「振り込め詐欺救済法に関するQ&A」(申請書等の記載例を含む・2026年10月10日確認) https://www.fsa.go.jp/policy/kyuusai/kyuusai_pdf/11.pdf
  • 警察庁「令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値・訂正版)」(2026年10月10日確認) https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024_teisei.pdf
  • 法務省「被害回復給付金支給制度 Q&A」 https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji36.html

※本記事は投資に関する一般的な知識の提供を目的としたもので、特定の商品・サービスの利用や売買を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。

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