コピトレ(コピートレード)は、業者のアプリで相手を選んでコピーする形のほかに、取引ソフトのMT5(MetaTrader 5)の「シグナル」という機能を使う形があります。どちらも、ほかの人の取引を自分の口座でまねる点は同じです。
ただ、2つの形は動く場所が違います。MT5のシグナルは、自分の側のMT5が動いていないとコピーされません。そのため、パソコンをつけっぱなしにするか、VPS(ネット上に借りるパソコン)を用意することになります。アプリ型のコピトレの感覚で始めると、ここでつまずきます。
この記事では、MT5のシグナル購読の仕組み、VPSが要る理由と選び方、購読料とVPS代を足した費用の合計を整理します。特定の業者やシグナルは推しません。コピトレ全体の仕組みはコピトレとは?仕組み・費用・詐欺の見分け方で、始めるまでの共通の手順はコピトレのやり方で解説しています。
アプリ型とMT5シグナル型の違い
最初に、2つの形の違いを表にします。アプリ型の例には、仕組みが公式に説明されているcTrader Copy(取引ソフトcTraderのコピー機能)を使いました。
| 比べる点 | アプリ型(例: cTrader Copy) | MT5シグナル型 |
|---|---|---|
| コピーが動く場所 | 業者・ソフト会社のサーバー | 自分の側のMT5 |
| 自分のパソコンやアプリ | 閉じていてもコピーされる | MT5を接続したまま動かし続ける必要がある |
| コピー用の口座 | 戦略ごとに専用の口座が作られる | 自分の取引口座をそのまま使う |
| 1つの口座でまねられる相手 | 公式FAQでは「技術的な上限はない」(戦略ごとに口座が分かれる) | 1つの口座につき1つのシグナルだけ |
| コピーを止めたときのポジション | 自動で全部決済される | 決済されずに残る(自分で管理する) |
| 主な費用 | 戦略ごとの成果報酬・管理手数料など | シグナルの購読料(月額)+VPS代 |
MT5シグナル型について、MT5の公式ヘルプは「取引口座は常にオンで、シグナルに購読されている口座を使用してサーバーに接続されている必要がある」と書いています。アプリ型のcTrader Copyについては、公式フォーラムで「コピーはすべて当社のサーバー上で行われ、PCを動かしておく必要はない」という回答があります(2020年4月)。
止めたときの扱いが逆になっている点も大きな違いです。cTrader Copyは、コピーを止めると戦略からコピーしたポジションが自動で全部決済されます。MT5は、購読を解除してもポジションは決済されず、その後は自分で管理することになります。
確認項目
- 使おうとしているコピトレは、どちらの形か(業者のアプリの中で完結するか、MT5にシグナルを入れるか)
- 自分の端末を閉じたとき、コピーが続く仕組みか
- コピーを止めたとき、ポジションが決済されるか残るか
MT5のシグナル購読とは
MT5のシグナルは、MetaQuotes社(MT4・MT5の開発元)が運営する「MQL5.com」のサービスです。シグナルの提供者が自分の取引口座をシグナルとして公開し、購読者がそれを自分のMT5に入れると、提供者の取引が購読者の口座でも出されます。MT4・MT5そのものの説明はMT4・MT5とはにあります。
MQL5のルールと公式ヘルプから、購読の前提を並べます。
| 項目 | 公式の記述 |
|---|---|
| 必要なもの | 有効なMQL5.communityのアカウント。MT5の設定に登録する |
| 1口座でいくつ購読できるか | 1つの取引口座で購読できるシグナルは1つだけ |
| 別のシグナルに乗り換えるとき | いまの購読を解除してから購読する |
| 購読を別の口座に移すとき | 週に1回まで |
| 提供者と自分の業者 | 違う業者でもよい。ただし同じ取引サーバー・同じ口座のグループにすることが推奨されている |
| 購読中の口座で自分も取引する | 「干渉」にあたり、予測できない結果になり得る |
| 購読料 | 月額の料金がかかる場合がある。支払いはMQL5.comの中の決済で行う |
提供者と業者が違うと、価格の届き方も違います。MT5のヘルプは、相手と自分のブローカーが違う場合、実行の条件が異なることがあると書いています。提供者と同じ成績になるとは限らない理由の1つです。
なぜVPSが要るのか
MT5シグナル型では、提供者の取引を受け取って自分の口座に注文を出すのが、自分の側のMT5です。そのため、MT5が動いて口座に接続している間しか、コピーは行われません。先に引いた公式ヘルプの「常にオンで接続されている必要がある」という記述は、このことを指しています。
公式ヘルプによると、コピー中にネットワークの問題があったときは、MT5が「再同期」を行い、提供者の取引で自分の口座に無いものをコピーします。ただし、これはつながった後に追いかける仕組みです。止まっていた間の値動きは取り戻せません。
24時間コピーを続ける方法は、大きく3つです。
| 方法 | 中身 | 確認項目 |
|---|---|---|
| 自分のパソコンをつけっぱなしにする | MT5を開いたまま、電源・ネットを切らない | スリープ・自動更新の再起動・停電・回線の切断で止まる |
| MQL5の仮想ホスティング(MetaTrader VPS) | MT5の画面から借りるVPS。購読の設定を移すと、そちらでコピーが動く | 料金・前払い・返金の決まり(下の表) |
| 一般のVPS業者で借りる | Windowsが動くVPSを借り、そこにMT5を入れて動かす | 料金・スペック・サーバーの場所は業者ごと。設定は自分でやる |
業者によっては、残高や取引量の条件を満たすとVPSを無料で使えるようにしているところもあります。その場合は、条件を満たさなくなった月に費用がかかるかどうかも確認項目です。
MQL5の仮想ホスティングの料金と決まり
2026年10月5日にMQL5の公式ページで確認した料金です。
| プラン | 期間 | 月あたりの料金 |
|---|---|---|
| Mini | 1か月 | 15ドル |
| Optimal | 3か月 | 13ドル |
| Long | 6か月 | 10.83ドル |
| Max | 12か月 | 10ドル |
どのプランにも24時間の無料の試用期間があります。利用規約には次の決まりがあります。
- 借りるのは、パソコンに入れたデスクトップ版のMT5からだけ。スマートフォンのアプリからは借りられません
- 1つのVPSで動かせるのは、1つの取引口座だけ
- 料金は、借りる期間のぶんが最初にまとめて確保される。利用者が途中でやめても返金されない
- VPSの上ではDLL(外部のプログラム部品)が使えない
- 利用できるのは18歳以上の登録ユーザー
手元のMT5と同時に動かすとき
購読の設定をVPSに移すことを「移行」と呼びます。公式ヘルプによると、移行は手元からVPSへの一方向だけで、VPS側の変更が手元に戻ることはありません。
購読中の口座を移行すると、手元のMT5ではシグナルのコピーが止められ、VPS側で自動的にコピーが始まります。同じ口座につながった2つのMT5が、同じ取引を二重にコピーしないための仕組みです。手元のMT5を開いたときに「コピーが止まっている」と表示されても、VPS側で動いていれば正常です。
費用の合計:購読料とVPS代を足すと、どれだけ増やす必要があるか
競合の解説記事では、購読料とVPS代が別々に書かれていることが多く、足した額はあまり出てきません。ここではAGITOで計算してみます。
前提は次のとおりです。購読料はシグナルごとに違うため、仮に月30ドルとします。VPSはMQL5のMiniプラン(月15ドル)とします。合計は月45ドル、1年で540ドルです。
| コピーに使う資金 | 月45ドルは資金の何%か | 1年(540ドル)は資金の何%か |
|---|---|---|
| 500ドル | 9.0% | 108% |
| 1,000ドル | 4.5% | 54% |
| 3,000ドル | 1.5% | 18% |
| 10,000ドル | 0.45% | 5.4% |
たとえば資金が1,000ドルなら、取引で毎月4.5%増えて、やっと購読料とVPS代を払い終えたところになります。ここには、取引ごとのスプレッド・取引手数料・スワップは入っていません。それらを足すと、必要な増え方はさらに大きくなります。
資金が少ないほど、固定でかかる費用の重さが増します。VPSを12か月プラン(月10ドル)にすると月40ドルになりますが、前払いで途中の返金がないため、続けるか分からない段階では向き不向きがあります。
MQL5のルールでは、購読料からMQL5側が20%の手数料を取り、残りが提供者に支払われます。この手数料は提供者の受け取りから引かれるもので、購読者が別に払うものではありません。
取引ごとの費用まで含めた手残りは、コピトレの費用計算ツールで金額を入れて試算できます。
確認項目
- 購読料は月いくらか、更新は自動か
- VPSは何か月分を前払いするか、途中でやめたときに返金があるか
- 購読料とVPS代を足した額が、コピーに使う資金の何%にあたるか
購読の設定で確かめる項目
購読するときに出る設定のうち、結果に大きく効くものを並べます。ロットの計算の考え方はコピトレのやり方の「配分の計算方法」でも扱っています。
| 設定 | 公式ヘルプの説明 | 確認項目 |
|---|---|---|
| 最大証拠金使用率 | 資金のうち、シグナルに従うのに使える割合。最大95% | 何%にするかで、コピーされる量が比例して変わる |
| 証拠金が下回ったらストップ | 資金が指定した水準を下回ると、コピーが自動で終わり、すべてのポジションが決済される | どの水準で止まるようにするか(0は無制限) |
| S/LとT/Pをコピーする | 提供者の損切り・利益確定の注文も自分の口座に置く | 有効にするか |
| 許容差スリッページ | 提供者の価格と、自分の口座で約定する価格の差をどこまで許すか | スプレッドの何倍まで許すか |
| 確認なしでのポジションの同期 | 購読を始めたときに、提供者がいま持っているポジションを確認なしで自分の口座にも持つ | 提供者が含み損を抱えているときに、そのまま持つことになってよいか |
コピーされる量は、提供者と自分の資金の比で決まります。公式ヘルプの例では、購読者の残高が8,000ユーロで使用率50%、提供者の残高が10,000ドル、ユーロドルが1.20000のとき、提供者が1ロットで取引すると、購読者の口座では0.48ロットになります。8,000ユーロは9,600ドルで、その50%が4,800ドル、提供者の10,000ドルとの比が0.48、という計算です。
資金が少ないと、計算された量が業者の最小の取引量を下回ることがあります。MT5のヘルプは、相手と自分の口座で取引量の決まりが合わないと、コピーされた取引の量に大きな差が出ることがあると書いています。
止め方と、やめたときのお金の扱い
MT5シグナル型の止め方は3つあり、ポジションの扱いが違います。
| 操作 | ポジション | 購読料 |
|---|---|---|
| 購読を解除する | 決済されずに残る。その後は自分で管理する | 払った分は提供者に支払われ、返金されない |
| 購読を一時停止する | 新しいコピーが止まる | 購読は続き、止めている間の料金も返金されない |
| 「証拠金が下回ったらストップ」が働く | すべて決済される | — |
アプリ型(cTrader Copy)の感覚で「解除すれば全部閉じる」と思っていると、MT5では解除の後にポジションが残り、相場の動きで損益が変わり続けます。解除したら、口座にポジションが残っていないかを見ることも確認のポイントです。
日本でシグナルを勧誘されたときの確認項目
SNSやLINEで「このシグナルを入れるだけ」「月額で配信」と勧誘されることがあります。日本の金融庁の監督指針は、投資の判断を提供する行為のうち登録が要らないものとして、書籍の販売や、誰でもいつでも買えるソフトウェアの販売を挙げています。そのうえで、次の場合には登録が必要となる場合があるとしています。
- インターネットなどを使って、個別・相対性の高い投資情報を提供する場合
- 会員登録などをしないと投資情報を購入・利用できない(単発での購入・利用を受け付けない)場合
- ソフトウェアを使うために、販売業者などから継続的にデータやサポートの提供を受ける必要がある場合
個別の勧誘がこれに当たるかどうかは、当局が判断することです。読者の側で確かめられるのは、勧誘している人や会社が、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」に投資助言・代理業者として載っているかどうかです。あわせて、「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」の警告の一覧に名前が出ていないかも確認項目です。
また、取引先が海外の業者の場合、日本の登録を受けていないことが多く、日本の投資者保護の外で取引することになります。AGITOでは、海外の業者が日本から撤退したり出金を止めたりした例を海外取引所の撤退・出金停止まとめに集めています。
確認項目
- 勧誘している人・会社が、金融庁の登録一覧に載っているか
- 金融庁の警告の一覧に、名前やサービス名が出ていないか
- 取引する業者が日本の登録を受けているか。受けていない場合、出金にどんな条件があるか
リスク・注意点
- コピトレは、提供者の取引の結果がそのまま自分の口座に出る仕組みです。提供者が損をすれば自分も損をし、元本が減ることがあります
- MQL5のルール自身が、過去の成績は将来の利益を保証しないこと、シグナルが実行されたりされなかったりすることで結果に差が出ることを書いています
- パソコンやVPSが止まっている間はコピーされません。MT5には、つながった後に見逃した取引を補う「再同期」の仕組みがありますが、補うのはその時点の価格での取引になるため、提供者と同じ価格にはなりません
- 「証拠金が下回ったらストップ」は、その水準で止まることを保証するものではありません。相場が急に動くと、設定より下で決済されることがあります
- 購読料もVPS代も、途中でやめたときの返金はありません。費用は取引の損益とは別に、毎月かかります
- 損をしないことや毎月決まった利益を約束されたり、個人の口座への振込みを求められたりしたときは、詐欺の典型的な形と重なります。見分け方はコピートレードは詐欺?で解説しています。お金を預けて運用を任せる形との違いはMAM・PAMM口座とはにあります
この記事のまとめ
- コピトレには、業者のサーバーでコピーするアプリ型と、自分の側のMT5でコピーするMT5シグナル型があります
- MT5シグナル型は、MT5が口座に接続している間しかコピーされません。24時間続けるには、パソコンをつけっぱなしにするか、VPSを借ります
- MQL5の仮想ホスティングは月10〜15ドル(2026年10月5日時点)で、前払い・返金なしです
- 購読料を仮に月30ドルとすると、VPS代と合わせて月45ドル。資金1,000ドルなら毎月4.5%増えてやっと費用を払い終える計算です(AGITO試算・取引ごとの費用は別)
- MT5では購読を解除してもポジションが残ります。アプリ型(cTrader Copy)は止めると全部決済されます
この記事に出てくる言葉
本文中の点線がついた言葉をクリックすると、ここへ移動します。
- ポジション
- 売買して、まだ決済していない取引のこと。持っている間は値動きに合わせて損益が変わる。
- スプレッド
- 買う値段と売る値段の差。取引のたびに実質的にかかるコストになる。
- ロット
- 取引する数量の単位。1ロットが表す量は商品や業者によって異なる。
出典(2026年10月5日確認)
- MetaQuotes「シグナル購読者」(MetaTrader 5 ヘルプ) https://www.metatrader5.com/ja/terminal/help/signals/signal_subscriber
- MetaQuotes「Signals」(MetaTrader 5 Help) https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/signals
- MetaQuotes「Migration」(MetaTrader 5 Help・仮想ホスティング) https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/virtual_hosting/virtual_hosting_migration
- MQL5.com「Rules of Using the Signals Service」 https://www.mql5.com/en/signals/rules
- MQL5.com「MetaTrader VPS」(料金) https://www.mql5.com/en/vps
- MQL5.com「Rules of Using the Virtual Hosting Service」 https://www.mql5.com/en/vps/rules
- cTrader「cTrader Copy FAQ」 https://help.ctrader.com/ctrader-copy/faq/
- cTrader Community「ctradercopy and PC power and ctrader」(2020年4月9日の回答) https://community.ctrader.com/forum/ctrader-copy/23350
- 金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」(令和8年10月)Ⅶ-3-1(2)②イ https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kinyushohin.pdf
- 金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」 https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku.html
※本記事は投資に関する一般的な知識の提供を目的としたもので、特定の商品・サービスの利用や売買を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。
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