AIが自動で運用してくれるとうたう暗号資産サービス「BitradeX(ビットレードエックス)」が、2026年8月9日、自社サイトで「外部から攻撃を受けて資産が減った」と公表しました。
そのうえで、いま手元に残っているお金では、預かっている分をまとめて払い戻すことはできないと書いています。払い戻しは少しずつ解放していく方式に切り替えるという説明です。
同じお知らせには、新しく入金する人のお金は、これまで預かっている分とは分けて扱うとも書かれています。いつ・どれだけ解放されるのかは、この記事の確認時点では公表されていません。
このサービスは日本語のサイトを持ち、8月7日には東京でイベントも開いていました。名前が似ている国内の取引所「BitTrade(ビットトレード)」とは、別の会社です。
この記事で分かること
- 8月9日にBitradeX自身が公表した内容(お知らせの原文つき)
- 7月29日の説明と、8月9日の公表で書かれていることの違い
- 「段階的リリース」として書かれていること、書かれていないこと
- 金融庁の登録一覧と無登録業者リストで確認できること
- 国内の「BitTrade(ビットトレード株式会社)」との関係
- 現時点で未確定の事項
本記事は公表資料の整理です。特定のサービスの利用・解約・資金の移動を推奨するものではありません。
8月9日にBitradeXが公表したこと
BitradeX は2026年8月9日、公式サイトに「BitradeX 資産セキュリティ事案の対応状況およびグローバルパートナープラン2.0に関するお知らせ」を掲載しました。日本語ページに掲載されている内容は次のとおりです。
冒頭では「最近、BitradeXの一部のホットウォレットが外部からのセキュリティ攻撃を受け、一定規模の資産損失が発生しました」と説明し、「リスクのさらなる拡大を防ぐため、一部の関連資産に関する操作を停止しました」と記載しています。
続いて、7月28日から8月8日にかけて影響を受けた資産と準備資産の確認を行ったとしたうえで、次のように書かれています。
今回のセキュリティ事案による資産損失のため、現段階でプラットフォームに残る準備資金では、既存資産全体の支払いを一括で賄うことができません
そのうえで「関連する既存資産について段階的なリリースの仕組みを通じて対応を進め、正式に『グローバルパートナープラン2.0』を開始することを決定しました」としています。
公表されている内容と、書かれていない内容
| 項目 | お知らせに書かれていること |
|---|---|
| 何が起きたか | 一部のホットウォレットが外部からのセキュリティ攻撃を受け、一定規模の資産損失が発生 |
| 現在の支払い能力 | 残る準備資金では既存資産全体の支払いを一括で賄うことができない |
| 既存ユーザーへの対応 | 「段階的なリリースの仕組み」による対応(グローバルパートナープラン2.0) |
| リリース済み資産の扱い | 「プラットフォームのルールに従って通常どおり出金、交換、再投資を行うことができます」 |
| 新規の入金・投資 | 「現行ルールに基づき独立して運用されます」 |
| 今後の対策 | ホットウォレットの資産規模を縮小し、コールドウォレット等の採用を優先すると記載 |
| 詳細ルールの公表 | 「公式チャネルを通じて順次公開します」 |
一方で、被害の金額や数量、攻撃の手法、資産がいつ・どれだけ解放されるのかは、このお知らせには記載がありません。「リリース加速のルート」として「権益の有効化およびエコシステムへの貢献」という表現が使われていますが、その具体的な条件も同じお知らせには書かれていません。
7月29日の説明と、8月9日の公表
BitradeX は7月末にも公式サイトにお知らせを出しています。「アカウント機能の復旧状況に関するお知らせ」(日付は2026-07-29)では、一部のアカウントで機能を利用できない状況について「システムアップグレードおよび関連する最適化作業」と説明し、復旧まで「あと2~3日を要する見込み」としていました。
このお知らせには、次の一文が入っています。
今回の対応により、お客様のアカウント資産の安全性やプラットフォームのデータに影響が生じることはなく、アカウント内の資産はすべて安全に保たれています
つまり、公式サイト上では7月29日の時点で「資産はすべて安全」と書かれ、8月9日の時点で「一括で賄うことができない」と書かれていることになります。
2つのお知らせが、同じ出来事の別の局面を指しているのか、別の出来事なのかは、どちらのお知らせにも説明がありません。8月9日のお知らせは調査期間を「7月28日から8月8日」としていますが、7月29日のお知らせにセキュリティ事案への言及はありません。両者の関係について、本記事の確認時点で公式の説明は見当たりませんでした。
なお、7月末の説明の日付は、報道によって記載が分かれています(NADA NEWS は7月28日、JinaCoin は7月31日)。本記事は公式ページに記載された 2026-07-29 を採っています。
公式サイトに掲載されている「保証」系の文言
BitradeX のAiBot 紹介ページには、2026年8月14日の確認時点で次の文言が表示されています。
- 「準備金1.8億USD」
- 「一千万ドルファンドプール保証」
- 「$10M セキュリティファンド/すべての投資を保護する保険ファンド」
- 「スマート投資の保証付き補償で安心、安定して安心できるリターン」
- 「ユニークなファンドプール保証メカニズム、収益が期待に満たない時に自動的に不足分を補填、効果的にドローダウン幅をコントロール」
- 「超高年率収益率」
最後の「超高年率収益率」については、数値がページ読み込み時のアニメーションで表示される作りになっており、当方が取得したページのソース上では数値を確認できませんでした。NADA NEWSは、この箇所の表示を「400% 超高年率収益率」と報じています。
これらの文言が掲載されているページと、8月9日のお知らせは、いずれも同じ公式サイト上にあります。本記事はこの2つを並べて示すにとどめ、掲載された文言がどのような性質のものかについては判断を示しません。
金融庁の一覧で確認できること
金融庁は「暗号資産の利用者のみなさまへ」のページで、2種類の一覧を公表しています。2026年8月14日にどちらも開いて確認した結果は次のとおりです。
| 一覧 | 内容 | BitradeX の記載 |
|---|---|---|
| 暗号資産交換業者登録一覧(令和8年6月30日現在・全26社) | 国内で暗号資産交換業の登録を受けている事業者 | 記載なし |
| 無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について(海外所在業者) | 警告書の発出を行った無登録業者 | 記載なし |
🔴 ここで注意が必要なのは、2つ目の一覧に載っていないことが、適法である・登録があるという意味にはならない点です。金融庁はこの一覧の留意事項で、掲載しているのは「警告書の発出を行った」業者だと明記しています。掲載されている海外業者は KuCoin・bitcastle・Bybit・MEXC・Bitget・LBank・BitForex・Binance などで、最新の掲載時期は令和6年(2024年)11月です。
海外の取引所が日本向けサービスを終了した例については、Bitgetが日本居住者向けサービスを終了する件の記事でも、この一覧を扱っています。
国内の「BitTrade(ビットトレード)」とは別の会社
名称が似ているため、国内の暗号資産取引所 BitTrade と混同されることがあります。両者は別の会社です。
金融庁の暗号資産交換業者登録一覧には「ビットトレード株式会社」が「関東財務局長 第00007号」として記載されています(所在地は東京都港区西新橋1-1-1、法人番号 3010401127116)。一方、BitradeX は同じ一覧に記載がありません。
BitradeX の運営主体については、NADA NEWSが、同社の公式情報をもとに英国法人「BITRADEX FINTECH LIMITED」としていると報じています。
日本での展開
BitradeX は日本語のサイトを公開しており、お知らせも日本語で掲載されています。
JinaCoinによれば、BitradeX は2026年8月7日に東京で「BitradeX Tokyo Summit」を開催し、CEO がオンラインで講演したうえで、一部のユーザーで出金の遅延が発生していると説明したとされています。公式のX(旧Twitter)アカウントは8月8日に会場の様子を投稿しています。
同記事およびNADA NEWSは、X 上で「出金できない」とする投稿が相次いでいることも報じています。これらは SNS 上の個々の投稿であり、本記事はその内容の当否について判断を示しません。
現時点で未確定の事項
- 被害の金額・数量(8月9日のお知らせに記載がありません)
- 攻撃の手法、および攻撃を受けた時期(同)
- 「段階的なリリース」の時期・割合・順序、および「リリース加速のルート」の具体的な条件(「順次公開します」とされています)
- 7月29日のお知らせと8月9日のお知らせが、同一の出来事を指しているかどうか(公式の説明が見当たりません)
- 既存資産の全額が最終的に払い戻されるかどうか(公表されていません)
- 日本国内の利用者数、および日本の利用者が対象に含まれるかどうかの明示(公表されていません)
- 日本の当局による対応の有無(本記事の確認時点で、金融庁の公表資料に BitradeX に関する記載は見当たりません)
この記事のまとめ
- AI運用をうたう暗号資産サービス「BitradeX」は2026年8月9日、一部のホットウォレットが外部攻撃を受け資産が減少したと自社サイトで公表しました
- 公表文には、残る準備資金では既存資産の一括払い戻しができず、「段階的なリリースの仕組み」で対応すると記載されています
- 7月29日の告知では「アカウント内の資産はすべて安全」としていましたが、8月9日には「一括で賄うことができない」と書かれており、両告知の関係についての公式説明は見当たらないとされています
- 被害の金額・数量、攻撃の手法、資産がいつ・どれだけ解放されるかは、8月9日のお知らせに記載がありません
- 金融庁の暗号資産交換業者登録一覧・無登録業者一覧のいずれにもBitradeXの記載はなく、国内の「BitTrade(ビットトレード株式会社)」とは別の会社です
この記事に出てくる言葉
- ホットウォレット
- 暗号資産を保管する入れ物のうち、インターネットにつながった状態で運用されているもの。すぐに送金や引き出しができる反面、外部からの攻撃にさらされやすいとされます。
- コールドウォレット
- インターネットから切り離した状態で暗号資産を保管する方式。攻撃を受けにくい一方、送金のたびに手作業が必要になるため、即時の出し入れには向きません。
- 準備資産(準備金)
- 事業者が利用者への払い戻しに充てるために持っている資産のこと。利用者から預かっている額に対して、実際にどれだけ持っているかは、事業者が公表しない限り外部からは分かりません。
- 暗号資産交換業の登録
- 日本国内で暗号資産と円などの交換サービスを行うために必要な、資金決済法にもとづく登録のこと。財務局長が登録番号を付与し、金融庁が一覧を公表しています。登録を受けた事業者には、利用者の資産を自社の資産と分けて管理することなどが義務づけられています。
- 年率収益率(APY)
- 1年間預けた場合の収益の割合として示される数値。表示されている数値は、あくまでその事業者が示す見込みや過去の実績であり、将来の受取額を約束するものではありません。
出典・確認日: 本記事は2026年8月14日14時00分(日本時間)に、上記の各ページを取得して作成しました。掲載内容はその後変更される場合があります。
運営: 株式会社シンセイサービス
※本記事は投資に関する一般的な情報・注意喚起を目的としたものであり、特定の個人・団体・商品を指すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。
運営: 株式会社シンセイサービス
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