「日本円は入れた。仮想通貨も買えた。なのに外へ送れない」。10月15日から、bitFlyer でこうなる人が出てきます。
対象は、本人確認が終わってから90日たっていない個人です。日本円を入れてから48時間は、入れた金額のうち10万円を超える分に相当する暗号資産を、外部のアドレスへ送れなくなります。売買や日本円の出金は、これまでどおりできます。
bitFlyer が挙げている目的は、詐欺被害と不正な資金移動の防止です。「入金させて、買わせて、すぐ外へ送らせる」。その流れの途中に、48時間を挟む仕組みです。
この記事で分かること
- bitFlyer の「クールダウン」の中身(対象・期間・10万円の線・対象外のもの)
- 「送金できない」に当たったとき、画面のどこで確認できるか
- 10万円を超える入金で、送れない金額がいくらになるかの計算例
- GMOコイン・コインチェックなどの「新しい宛先への送付制限」との違い
- 金融庁・警察庁の要請との関係
何が起きたか:bitFlyerが円入金後48時間の「クールダウン」を導入
株式会社bitFlyerは2026年10月2日、「bitFlyer、暗号資産の詐欺被害防止を目的に「クールダウン」を導入」(PDF)を公表しました。適用開始は2026年10月15日(木)です。
同社は仕組みを次のように説明しています。
本人確認が完了した日時から 90 日未満である個人のお客様が日本円を入金した場合、入金後 48 時間を「クールダウン期間」とします。当該期間中は、暗号資産を外部アドレスへ送付する際に一部制限が適用されます。
告知の内容を表にまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 告知の記載 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年10月2日 |
| 適用開始 | 2026年10月15日(木) |
| 対象 | 本人確認が完了した日時から90日未満の個人(すでに口座を開設済みでも、90日未満なら対象) |
| 期間 | 日本円の入金から48時間(入金ごとに、それぞれ48時間) |
| 送れない分 | 48時間以内に入金された日本円の合計額(手数料を除く)から10万円を差し引いた金額に相当する暗号資産 |
| 対象外 | 10万円以下の入金/クイック入金による入金分(別途7日間の送付制限があるため) |
| 制限されないもの | 日本円の入金・出金、暗号資産の売買、暗号資産の保有・受取 |
| 利用者の手続き | 不要 |
同社は「クールダウン期間中も、すべての暗号資産の送付が制限されるわけではありません」とも書いています。止まるのは、外部のアドレスへの送付のうち、計算上の上限を超える分です。
自分に関係があるか:bitFlyerで送金できないのは誰?
対象になるのは「本人確認から90日未満」の個人
対象かどうかを分けるのは、口座を開いた日ではなく本人確認が完了した日時です。同社は「すでに口座を開設済みのお客様も、本人確認が完了した日時から 90 日未満である場合は対象」「本人確認を完了してから 90 日が経過すると、クールダウンの対象外」と書いています。
告知は対象を「本人確認が完了した日時から 90 日未満である個人のお客様」としています。法人の口座の扱いは、告知に明示されていません。
10万円以下の入金なら対象外
告知には「10 万円以下の入金であれば、制限の対象になりません」とあります。ただし判定に使うのは1回ごとの入金額ではなく、48時間以内に入金された日本円の合計額です。
送れない金額の計算例
告知の計算式(48時間以内の入金合計 − 10万円)に当てはめると、次のようになります。
| 入金のしかた | 48時間以内の入金合計 | 外部へ送れない分 |
|---|---|---|
| 1回で5万円 | 5万円 | なし(10万円以下) |
| 1回で30万円 | 30万円 | 20万円に相当する暗号資産 |
| 1日目の10時に8万円、2日目の9時に7万円 | 2日目9時の時点で15万円 | 5万円に相当する暗号資産 |
3つ目の例では、1日目の入金は3日目の10時に48時間を過ぎます。告知には「48 時間が経過した入金分については、順次クールダウン期間が終了します」とあるので、その時点で合計の計算から外れます。残る入金は7万円だけになり、10万円以下です。
この表は告知の計算式に当てはめた例です。日本円の金額を暗号資産の数量にどう換算するかは告知に書かれていません。同社は「送付可能な数量は、お客様の資産状況によって異なる場合があります」としていて、実際に送れる数量の確認先は送付画面です。
どこを見れば分かるか
同社は、対象の利用者が操作画面で次の表示を確認できるとしています。
| 画面 | 表示される内容 |
|---|---|
| 暗号資産の送付画面 | クールダウン期間中である旨と、送付可能な数量 |
| 入出金の履歴画面 | 対象となる日本円の入金履歴に「クールダウン中」 |
| 日本円入金の詳細画面 | 「仮想通貨の送付制限解除日時」 |
10月15日以後に bitFlyer で暗号資産を送れないとき、原因の候補に「入金から48時間たっていない」が加わります。どの入金がいつ解除されるかは、入金の詳細画面に日時で出ます。
クイック入金は別のルール
クイック入金で入れた分は、クールダウンの対象外です。同社はその理由を「クイック入金による入金分には別途 7 日間の送付制限が適用される」ためと書いています。クイック入金分には、48時間のクールダウンではなく、7日間の送付制限がかかるということです。
GMOコイン・コインチェックの送付制限との違い
国内の取引所では、2026年夏から送金まわりの制限が続いています。このサイトで取り上げてきたものを並べると、次のとおりです。
| 時期 | 出来事 | 制限の起点 | 記事 |
|---|---|---|---|
| 2026年7月10日 | SBI VCトレード:出庫先アドレスの登録時に本人確認を求める場合がある | 宛先の登録 | 登録したばかりのアドレスに暗号資産を送れない |
| 2026年8月6日 | 金融庁・警察庁が業界団体に詐欺被害防止の対策を要請 | — | 金融庁の暗号資産11項目要請とは? |
| 2026年8月26日 | ビットポイント:新しい送付先への一定期間の出金制限 | 宛先の登録 | 登録したばかりのアドレスに暗号資産を送れない |
| 2026年8月29日 | GMOコイン:宛先の審査完了メールから24時間の送付制限 | 宛先の登録 | 登録したばかりのアドレスに暗号資産を送れない |
| 2026年9月15日(予定) | コインチェック:新しく登録したアドレスへの送金を一定期間制限(期間は非公開) | 宛先の登録 | コインチェックで「新しく登録したアドレスに送金できない」期間ができる |
| 2026年10月15日 | bitFlyer:本人確認から90日未満の個人に、円入金後48時間のクールダウン | 日本円の入金 | この記事 |
これまでの4件は、どれも新しい送り先を登録したときに時間を置く仕組みでした。bitFlyer のクールダウンは、日本円を入金したときに時間を置く仕組みで、起点が違います。対象も、すべての利用者ではなく、本人確認から90日未満の個人に絞られています。
金融庁・警察庁の要請との関係
金融庁は2026年8月6日、警察庁と連名で、日本暗号資産等取引業協会に「暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化について」を要請しました。同庁のページに挙がっている項目のうち、出庫の制限に当たるのは次の2つです。
法定通貨入金後又は暗号資産購入後の一定期間の暗号資産の出庫制限
出庫先の事前登録制及び登録後一定期間の暗号資産の出庫制限
GMOコイン・ビットポイント・コインチェックの措置は2つ目と同じ型です。bitFlyer のクールダウンは、1つ目の「法定通貨入金後」の型に当たります。
ただし bitFlyer の告知は、この要請に触れていません。告知が挙げている背景は、詐欺被害や不正な資金移動の防止への継続的な取り組みです。
この件が示していること:止めているのは「入金してすぐ送る」流れ
bitFlyer は告知の中で、自社が利用者に暗号資産の送付を求めることはないとし、「SNS やマッチングアプリ、投資グループなどで送付を求められた場合」にも注意を呼びかけています。
同じ10月2日には、ビットバンクも「暗号資産を利用した詐欺被害にご注意ください」を出しています。同社が挙げている手口は、警察官などをかたる「ニセ警察詐欺」と、SNSで投資を勧める「SNS型投資・ロマンス詐欺」で、どちらも暗号資産の購入や送付を指示される流れです。SNS型投資詐欺の典型的な流れは、SNS型投資詐欺の手口でも扱っています。
クールダウンが制限するのは、日本円の入金から外部への送付までが48時間以内で、しかも入金合計が10万円を超える場合です。対象は本人確認から90日未満の個人に限られます。告知の条件を並べると、時間がかかるのは本人確認から90日未満の個人が、まとまった日本円を入れて、すぐ外へ送るという組み合わせです。日本円の入出金と、暗号資産の売買・保有・受取は、クールダウンによる制限の対象外です。
90日、48時間、10万円という3つの数字をどう決めたかは、告知に書かれていません。
あなたの口座の本人確認が終わったのは、何日前ですか。
現時点で未確定の事項
- 日本円の金額を、送付できる暗号資産の数量にどう換算するか(告知は「送付画面で確認」とするのみ)
- 90日・48時間・10万円の数字を決めた根拠
- 適用開始の10月15日より前に入金した分の扱い(告知に個別の記載はない)
- 他の国内取引所が、入金を起点にした同じ型の制限を入れるかどうか
出典・確認日
- bitFlyer「bitFlyer、暗号資産の詐欺被害防止を目的に「クールダウン」を導入」(2026年10月2日)
- 金融庁「暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化について」(2026年8月6日)
- ビットバンク「暗号資産を利用した詐欺被害にご注意ください」(2026年10月2日)
確認日: 2026年10月3日。本記事は各社・官庁の公表資料の記載を整理したものであり、特定の投資判断や資産の移動を推奨するものではありません。
この記事のまとめ
- bitFlyer は2026年10月15日から、日本円の入金後48時間を「クールダウン期間」とし、外部への暗号資産の送付を一部制限します
- 対象は本人確認の完了から90日未満の個人です。すでに口座がある人も、90日未満なら対象になります
- 送れなくなるのは、48時間以内の入金合計(手数料を除く)から10万円を差し引いた額に相当する暗号資産です。合計10万円以下なら制限はかかりません
- 日本円の入金・出金、暗号資産の売買・保有・受取は制限されません。利用者の手続きも不要です
- クイック入金の分は対象外です。別に7日間の送付制限がかかっているためです
- 解除日時は日本円入金の詳細画面に、送付可能な数量は送付画面に表示されます
- 国内でこれまで続いた送付制限は「新しい宛先の登録」が起点でしたが、bitFlyer は「日本円の入金」が起点です。金融庁・警察庁の8月の要請には、両方の型が項目として挙がっています
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※本記事は公表された資料・発表の内容を整理した一般的な情報提供であり、特定の個人・団体・商品・サービスの利用や解約を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。税務の取扱いについては税理士に、法律上の論点については弁護士にご確認ください。
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