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Liquid Networkから約4,000BTCが流出しサイドチェーンが停止|L-BTCの入出金停止と、国内取引所のビットコインへの影響【2026年9月】

2026 9/26
金融ニュース
2026.09.08 2026.09.26
監修:佐藤 翔(証券会社に約20年勤務)
運営:株式会社シンセイサービス(AGITO編集部)/運営者情報・編集方針

編集部メンバー:なってぃ|AGITO編集部(Xプロフィール)

ビットコインの「別線」として動いているLiquid Network(リキッドネットワーク)で、2026年9月7日、運営側が管理するウォレットから約4,000BTC(約3億2,000万ドル)が引き出されたと公表されました。引き出した側は「善意のハッカー」を名乗っていますが、運営側は「自称」としています。

この影響で、Liquid Networkは新しい取引を受け付けない状態になり、Liquid上でビットコインを表す「L-BTC」の入出金は、取引所各社ですでに停止されたか、今後停止される予定です。

一方、国内の取引所の口座で持っているビットコインは、Liquidではなくビットコイン本体のブロックチェーン上の資産です。今回の停止はLiquid側の話であり、ビットコイン本体のブロックチェーンに欠陥が見つかったという公表はありません。

この記事で分かること

  • 9月7日にBlockstreamが公表した内容
  • Liquid NetworkとL-BTCとは何か
  • 国内取引所のビットコインは対象なのか
  • L-BTCやLiquid対応ウォレットを使っている人はどうなるのか
  • 「3,400BTCが返還された」という報道と、公式発表の関係
  • 現時点で未確定の事項

各社の公表資料と報道の記載を整理したものであり、特定の投資判断や資産の移動を推奨するものではありません。

目次

9月7日にBlockstreamが公表した内容

Liquid Federation(連合体)の技術提供者であるBlockstream(ブロックストリーム)は、公式のサービス状況ページにLiquid Security Incidentを掲載しました。ページの表示は「September 7, 12:14 AM」で、確認日時点の状態は「Active(対応中)」です。

同ページに書かれている内容は次のとおりです。

項目公表内容
何が起きたかホワイトハットハッカーを自称する者が、Liquid Federation(連合体)のウォレットから約4,000BTC(約3億2,000万ドル相当)を引き出した
経路SideSwap(サイドスワップ)のPAK(ペグアウト承認鍵)を経由して引き出された。ただし、その鍵も他の鍵も侵害されていない
取引所への影響取引所各社に通知済み。各社はL-BTCの入金・出金をすでに停止したか、今後停止する
他のLiquid上の資産USDT、DePix、RWA(現実資産トークン)は今回の件の影響を受けない
ネットワークの状態ブリッジノードを一時的に無効化したため、新しい取引を送信できない。問題が解決するまでLiquidサイドチェーンは事実上停止
ウォレットLiquid対応ウォレットは影響を受ける
対応Blockstreamは署名付きメッセージをオンチェーンで送り、引き出した相手との連絡を試みている。連合体のメンバーが復旧作業中

Blockstreamのサービス状況ページのトップでは、影響を受けているコンポーネントとして「Public Bridge Nodes(公開ブリッジノード)」が示されています。

Liquid NetworkとL-BTCとは

Liquid Networkは、ビットコインの「サイドチェーン」と呼ばれる仕組みのひとつです。ビットコイン本体のブロックチェーンとは別に動く帳簿で、Liquid Networkの公式サイトでは「ビットコインの資本市場のための金融レイヤー」と説明されています。

たとえば、ビットコインを1BTC持っている人が、それをLiquidに「預け入れる」と、Liquid上で同じ量の「L-BTC」が使えるようになります。この預け入れをペグイン、Liquidからビットコイン本体へ戻す手続きをペグアウトと呼びます。

預け入れたビットコイン本体は、複数の事業者で構成する「連合体(Federation)」が管理するウォレットに保管されます。今回、資金が引き出されたのはこの連合体のウォレットです。L-BTCは、この保管されたビットコインが裏付けになっています。

国内取引所のビットコインは対象?

国内の暗号資産交換業者の口座で保有しているビットコインは、ビットコイン本体のブロックチェーン上の資産です。Liquid上のL-BTCとは別のものです。

Blockstreamの公表で「停止している」とされているのはLiquidサイドチェーンとそのブリッジノードで、ビットコイン本体のブロックチェーンに欠陥が見つかったという記載はありません。

したがって、今回の件で直接影響を受けると公表されているのは、次の範囲です。

  • Liquid上でL-BTCを保有している人
  • Liquid対応のウォレットで、Liquid側の機能を使っている人
  • 取引所でL-BTCの入金・出金を使っている人

自分の資産がどちらに当たるかは、保有している場所(取引所の口座か、Liquid対応ウォレットか)と、銘柄名が「BTC」か「L-BTC」かで分かれます。

L-BTCを持っている人はどうなる? 出金できない状態はいつまで?

公表されているのは「ブリッジノードを無効化したため、新しい取引を送信できない」「取引所各社はL-BTCの入出金を停止したか、今後停止する」「問題が解決するまで停止する」までです。再開の時期は公表されていません。

つまり、確認日時点で分かっているのは次の3点です。

  • L-BTCをビットコイン本体へ戻すペグアウトを含め、Liquid上の新しい取引は送信できない
  • 取引所でのL-BTCの入金・出金は停止している(または停止予定)
  • Liquid上のUSDT・DePix・RWAは、今回の件の影響を受けないと公表されている

再開の見通しや、L-BTCの裏付けがどのように扱われるかは、Blockstreamのサービス状況ページの更新で確かめられます。同ページには、更新があったときにメールで通知を受け取る登録欄もあります。

「3,400BTCが返還された」という報道と公式発表の関係

CoinPostの9月8日の記事は、引き出した側が9月7日に3,400BTCを連合体のウォレットへ返還し、残りの598.5BTCは相手の手元に残っている、と報じています。同記事によると、流出の原因は鍵の盗難ではなく、Liquidの基盤ソフト「Elements(エレメンツ)」の検証処理の不具合で、裏付けのないL-BTCが作られ、SideSwapのペグアウト機能を通じて通常の注文を装う形でビットコインが送り出された、とされています。

BITTIMESの9月7日の記事も、連合体に参加するSideSwapが「ある顧客から4,000L-BTCのペグアウト注文を受け付け、通常の手順で処理した」「そのL-BTCはElementsのバグによって生成されたものだった」と説明した、と報じています。

ただし、確認日時点で、Blockstreamのサービス状況ページに返還や原因の詳細は反映されていません。公式が書いているのは「SideSwapのPAK経由で引き出された」「鍵は侵害されていない」「自称ホワイトハット」までです。返還の有無と原因の確定は、公式の更新を待つ事項です。

なお、ElementsのGitHubのリリース一覧を確認日時点で見ると、公開されている最新のリリースはelements-23.3.3(2026年4月)で、今回の件に対応した新しいリリースは掲載されていません。報道にある「修正パッチ」が公開リリースとして出ているかどうかは、この一覧で確かめられます。

この件が示していること|鍵が盗まれなくても資金は動く

今回の件で公式が強調しているのは、鍵は侵害されていないという点です。報道が正しければ、正規の手続き(ペグアウト注文)を通る形で、裏付けのないL-BTCがビットコインに換えられたことになります。

同じ型は、暗号資産の分野で繰り返し起きています。

1つめ。ソフトウェアの不具合が、正規の手続きを通って資金の移動になる。 2026年8月には、決済ソフトBTCPay Serverの欠陥が修正版の配布前に悪用され、実際に資金が流出しました(macOSの画面共有とBTCPay Serverで悪用を確認 2026年8月の脆弱性2件と修正版)。暗号資産カードの共通基盤Rainでも、旧コントラクトの不備がチャージ残高の流出につながっています(暗号資産カードの「チャージ残高」から流出|共通基盤Rainの旧コントラクトが原因、Avici・Triaが全額補填)。

2つめ。ネットワーク側の事情で、取引所の入出金が止まる。 利用者や取引所に落ち度がなくても、銘柄側のネットワークが止まれば入出金は止まります。モナコインでは2025年12月の停止が約3日で再開したあと、2026年8月にも国内2社で入出金の停止が起きています(モナコインの入出金停止が続く|2025年12月の停止例は約3日で再開)。ビットコインのハードフォーク(eCash)でも、銘柄側の日程に合わせて国内取引所が対応を告知しています(ビットコインのハードフォーク(eCash・ECX)とは?3段階の日程と国内取引所の対応)。

3つめ。「戻った」かどうかは、公式の公表と報道で時間差が出る。 今回も、返還の報道が先に出て、公式のステータスページは未更新です。返還の報道と公式の更新には、時間差が出ています。

Liquid上の資産についての公式の情報は、Blockstreamのサービス状況ページと、L-BTCを扱っている各取引所・各ウォレットの告知として公表されます。

現時点で未確定の事項

  • 引き出された約4,000BTCの返還 — 報道では3,400BTCが返還されたとされていますが、確認日時点でBlockstreamの公式ページには反映されていません
  • 流出の原因 — 公式は「SideSwapのPAK経由・鍵は侵害されていない」までを公表。Elementsの不具合との説明は報道およびSideSwapの投稿を経由したもので、公式ページには記載がありません
  • Liquid Networkの再開時期 — 「問題が解決するまで停止」とされ、日付の公表はありません
  • L-BTCの入出金を停止した取引所の一覧と、各社の再開時期 — 公式は「取引所各社に通知済み」とだけ書いており、社名は挙げていません
  • Elementsの修正版の公開 — 確認日時点でGitHubのリリース一覧に新しいリリースは掲載されていません

この記事のまとめ

  • Blockstreamは2026年9月7日、Liquid Federationのウォレットから約4,000BTC(約3億2,000万ドル相当)が引き出されたと公表しました。引き出した側は「ホワイトハット」を自称していますが、公式は「自称」としています
  • SideSwapのPAK経由で引き出されたが、その鍵も他の鍵も侵害されていない、というのが公式の説明です
  • ブリッジノードは無効化され、Liquidサイドチェーンは事実上停止しています。取引所各社ではL-BTCの入金・出金がすでに停止されたか、今後停止される予定です。USDT・DePix・RWAは影響を受けないとされています
  • 国内取引所の口座にあるビットコインは、ビットコイン本体のブロックチェーン上の資産で、L-BTCとは別のものです。ビットコイン本体に欠陥が見つかったという公表はありません
  • 報道では3,400BTCの返還とElementsの不具合が原因と伝えられていますが、公式ページには未反映です

あわせて読みたい

  • モナコインの入出金停止が続く|2025年12月の停止例は約3日で再開 — ネットワーク側の事情で入出金が止まる例
  • macOSの画面共有とBTCPay Serverで悪用を確認 2026年8月の脆弱性2件と修正版 — 修正版の配布前に不具合が悪用された例
  • BTCBOXが9月7日に日本円入金と暗号資産の出庫を再開|対象は4銘柄、出庫先はトラベルルール対応の国内交換業者に限定 — 「止まっている間に確かめる先」は事業者の公表資料になる、という共通点

確認日: 2026年9月8日。本記事はBlockstreamの公表資料および報道の記載を整理したものです。暗号資産の取引には価格変動をはじめとする各種のリスクがあり、損失が生じる可能性があります。

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