暗号資産取引所 MEXC の日本向けアカウントが2026年8月23日、MEXC を装った「認証コード」のSMSが複数の人に届いていると公表しました。MEXC が送ったものではありません。
やっかいなのは、送信者名の欄に「MEXC」と表示される点です。スマートフォンの画面では、過去に届いた本物の認証コードと同じ並びに表示されることがあります。送信者名は偽装できるため、そこだけでは見分けがつきません。
MEXC は「公式のSMSにリンクが入ることはない」と説明しています。SMS に書かれていたリンク先のドメインも、MEXC のものではありませんでした。
現時点で不正ログインや資産の移動は確認されていない、とされています。電話番号がどこから出たのかは、MEXC 自身の経路も含めて調査中です。
この記事で分かること
- 何が起きたのか(届いたSMSの文面と、公式が否定した内容)
- 送信者名が偽装できるとはどういうことか
- MEXC が挙げた3つの呼びかけ
- 「電話番号の流出」がまだ確定していない理由
- MEXC の国内での登録状況
- 国内で公表されている相談窓口
- 現時点で未確定の事項
本記事は公表資料の整理です。特定の取引所の利用を推奨するものではありません。
何が起きたのか
MEXC の日本向けアカウント @MEXC_Japan(表示名は「MEXC Japan(エムイーエックスシー)ファンクラブ」。X 上では MEXC の関連アカウントであることを示すバッジが付いています)が、2026年8月23日の夜に注意喚起の投稿を公開しました。
投稿によると、同日の夕方から、次のような文面のSMSが届いたという連絡が複数寄せられています。
「[MEXC]認証コード…情報変更に心当たりがない場合は…を確認」
これについて MEXC は、自社が送信したものではないと明記しています。
あわせて、次の2点を説明しています。
- MEXC の公式SMSにリンクが入ることはない
- SMS に書かれていた mexc.sc というドメインは、MEXC のものではない
つまり、リンクが入っている時点で MEXC 発ではない、という切り分けになります。
送信者名が「MEXC」でも本物とは限らない
今回いちばん重要なのが、この部分です。
MEXC は投稿の中で、送信者名は偽装できると明言しています。
スマートフォンのSMSは、送信者名が同じであれば、過去のやり取りと同じスレッド(同じ画面)にまとめて表示されることがあります。そのため、以前に本物の認証コードを受け取ったことがある人ほど、偽のSMSが本物の履歴の続きとして並んで見えます。
「前に来た本物の下に並んでいるから本物だろう」という見分け方が、この手口では成立しません。
SMSフィッシングは、宅配業者や金融機関をかたる形で以前から知られている手口です。今回は、それが暗号資産取引所の認証コードという形をとりました。
被害の状況について公表されていること
投稿の時点で公表されているのは次の内容です。
| 項目 | 公表内容 |
|---|---|
| 不正ログイン | 確認されていない |
| 資産の不正な移動 | 確認されていない |
| 影響の範囲 | リンク先でIDやパスワードを入力していなければ、アカウントへの影響はない |
被害の件数や金額についての記載はありません。
MEXC が挙げた3つの呼びかけ
MEXC は利用者に対して、次の3点を求めています。以下は MEXC の呼びかけの引用です。
- SMS内のリンクは開かない。確認は公式アプリから直接ログインして行う
- 認証コードは誰にも教えない。MEXC のスタッフが電話やダイレクトメッセージでコードを聞くことはない
- リンク先でIDやパスワードを入力してしまった場合は、相手にパスワードが渡っている前提で、MEXC のログインパスワードをすぐに変更する(同じパスワードを他のサービスでも使っている場合は、そちらも)。そのうえで公式サポート(アプリ内ライブチャット・24時間日本語対応)へ連絡する
MEXC は、SMSフィッシングの見分け方をまとめた公式ガイドも案内しています。
「電話番号が流出した」とはまだ言えない
報道では「番号流出の可能性」という形で扱われていますが、MEXC が流出を認めた事実はありません。
原文はこう書かれています。
なぜ皆さまの番号にこのSMSが届いたのか、番号がどこから出たのかは、MEXC側の経路も含めて社内で確認を進めています
「MEXC 側の経路も含めて」という書き方は、自社からの流出も調査対象から外していないという意味であり、流出があったという確認ではありません。この2つは別のことです。
MEXC は、調査の結果が出る前でも分かったことから順に同じアカウントで知らせる、としています。
なお、SMSは電話番号さえ分かれば送れます。番号の入手元は、対象サービスの流出とは限りません。特定のサービスから漏れたと決めつけられる段階ではない、という位置づけになります。
MEXC の国内での登録状況
金融庁が公表している「暗号資産交換業者登録一覧」(令和8年8月21日現在・全27業者)に、MEXC の記載はありません。
海外取引所の日本での扱いについては、Bitgetが日本居住者向けサービスを終了へ、BitMEXとBitMartが閉鎖へ でも、それぞれの経緯を整理しています。
確認項目として整理できること
今回の公表から読み取れる範囲を並べます。どれも判断そのものではなく、判断の材料です。
- 送信者名の表示は、本物かどうかの手がかりにならない(偽装できると公式が明言)
- リンクの有無は手がかりのひとつ(MEXC は公式SMSにリンクを入れないと説明)
- ドメイン名が公式のものと一致しているかどうかも確認項目のひとつです
- SMSから開くのではなく、アプリやブックマークから入り直すという経路の取り方も、公式の案内に含まれています
- 認証コードを第三者に伝える場面は、公式の運用として存在しないと説明されています
フィッシング全般については 口座と個人情報を守る に、SNS経由の投資勧誘については SNS型投資詐欺の手口 にまとめてあります。
相談窓口
| 窓口 | 内容 |
|---|---|
| 警察庁 サイバー犯罪対策 | 各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口の案内 |
| フィッシング対策協議会 | フィッシングの届出受付と事例の公表 |
| 消費者ホットライン 188 | 最寄りの消費生活センター等へつながる番号 |
| 金融庁 金融サービス利用者相談室 | 金融サービス全般に関する相談・情報提供の受付 |
被害の届出については警察が窓口になります。
現時点で未確定の事項
- 電話番号の入手経路(MEXC 側の経路も含めて調査中と明記されています)
- SMS が届いた件数・対象の範囲(「複数の方から」という記載までです)
- 送信元(発信者の特定についての記載はありません)
- 偽サイトに情報を入力してしまった人の数(公表がありません)
- 日本国内の当局が本件について何らかの公表を行っているかどうか(2026年8月27日時点で確認できていません)
- 調査結果の公表時期(「わかったことから順に」という記載までです)
この記事のまとめ
- MEXCの日本向けアカウント(@MEXC_Japan)は2026年8月23日夜、MEXCを装った「認証コード」のSMSが複数の人に届いていると注意喚起しました。MEXCが送信したものではないと明記されています
- MEXCは「公式SMSにリンクが入ることはない」「SMSに書かれていたmexc.scというドメインはMEXCのものではない」と説明しています。一方で送信者名の「MEXC」表示自体は偽装できるとも明言しており、過去に届いた本物の履歴と同じ画面に並んで表示されることがあります
- 投稿の時点で、不正ログインや資産の不正な移動は確認されていないとされています
- MEXCは「SMS内のリンクを開かない」「認証コードは誰にも教えない」「もし入力してしまった場合はパスワードをすぐ変更しサポートへ連絡する」の3点を呼びかけています
- 電話番号の入手経路について、MEXCは「MEXC側の経路も含めて」社内で調査中と説明しており、自社からの流出を認めた記載はありません
- 金融庁の暗号資産交換業者登録一覧(令和8年8月21日現在・全27業者)にMEXCの記載はありません。SMSが届いた件数や送信元の特定についても記載がありません
この記事に出てくる言葉
- SMSフィッシング
- SMS(ショートメッセージ)を使って、実在する企業や機関になりすまし、偽のサイトへ誘導してIDやパスワードを入力させる手口。SMSを意味する「SMS」と「フィッシング」を組み合わせて「スミッシング」とも呼ばれます。
- 認証コード
- ログインや設定変更のときに、本人確認のためSMSやアプリへ送られてくる数字の並び。一定時間で使えなくなります。第三者に伝えると、パスワードを知られている場合にログインされてしまいます。
- 送信者名(送信者ID)
- SMSの画面に、電話番号の代わりに表示される差出人の名前。企業名を入れて送る仕組みが用意されている一方、名前そのものを別の送信者が名乗ることもできるため、表示だけで本物と判断することはできません。
- ドメイン
- ウェブサイトの住所にあたる文字列。`example.com` の部分を指します。見た目が似ていても、この部分が公式のものと違えば別のサイトです。
- 暗号資産交換業者
- 日本国内で暗号資産の売買や交換のサービスを提供するために、金融庁(財務局)への登録が必要とされる事業者。登録された事業者は金融庁のサイトで一覧が公表されています。
出典・確認日: 本記事は2026年8月27日(日本時間)に、MEXC Japan の X投稿および各機関の公表ページを取得して作成しました。掲載内容はその後変更される場合があります。
※本記事は公表された資料・発表の内容を整理した一般的な情報提供であり、特定の個人・団体・商品・サービスの利用や解約を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。税務の取扱いについては税理士に、法律上の論点については弁護士にご確認ください。
運営: 株式会社シンセイサービス
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