アメリカの投資アプリ「ロビンフッド」が2026年7月1日、テスラやエヌビディアなどの米国株を 「トークン」の形で売買できるサービスを、120以上の国と地域で始めました。24時間いつでも取引できます。
ただし、これは株そのものを買っているわけではありません。 ロビンフッドの公式発表は、この商品を「債券性の証券」と説明しており、 買った人に株主としての権利は一切ないと明記しています。
そしてアメリカ在住者は対象外です。日本から使えるかどうかは、公式発表では明示されていません。
何が発表されたのか
ロビンフッドは2026年7月1日、ロンドンで開いた発表会で、独自のブロックチェーン 「Robinhood Chain」の公開メインネットと、株式トークン(Stock Tokens)の提供開始を公表しました。
公式リリース(Robinhood Accelerates Global Expansion with Robinhood Chain Mainnet, Stock Tokens, Agentic Trading and New Suite of DeFi Products)から、事実関係を拾います。
| 項目 | 公式発表の内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年7月1日 |
| 提供範囲 | Robinhood Wallet 上で 120以上の国と地域。ただし「availability varies by jurisdiction(利用可否は国・地域によって異なる)」と但し書きあり |
| 除外 | 米国および米国人(US persons)は対象外。「他の法域でも制限の対象となる」と記載 |
| 基盤 | Arbitrum Platform を用いて構築されたレイヤー2ブロックチェーン |
| 取引時間 | Robinhood Chain 上で 24時間365日 |
| 会社規模 | 「38か国・3大陸で約2,800万人の顧客」 |
株式トークンは、DeFi(分散型金融)のアプリでレンディングの原資に回したり、担保として使ったりできる、 とも説明されています。
🔴 「株が買える」ではありません
この商品でいちばん重要なのは、買っても株主にはならないという点です。 公式リリースの原文はこうなっています。
Stock Tokens are tokenised debt securities issued by Robinhood Assets (Jersey) Limited
that provide economic exposure to underlying securities but do not grant investors
any legal or beneficial rights in, or against the issuer of, those underlying securities.
日本語にすると、次の3つを言っています。
- 株式トークンは Robinhood Assets (Jersey) Limited が発行する「トークン化された債券性の証券」である
- 値動きの経済的な影響だけを受け取る仕組みである
- 元になっている株式や、その発行会社に対する法的な権利も受益権も、投資家には一切与えられない
つまり、テスラの株式トークンを持っていても、テスラの株主ではありません。 議決権はなく、株主総会にも参加できません。会社が倒れたときに株主として主張できる立場でもありません。 値段が連動するだけの、ロビンフッドのジャージー法人に対する債権です。
配当については、原資産に配当があった場合に米ドル相当額をユーザーの口座に反映する形が案内されています。 株式の配当をそのまま受け取っているわけではありません。
日本から使えるのか
ここは、公式発表では明示されていません。
公式リリースにあるのは「120以上の国と地域」「利用可否は国・地域によって異なる」「38か国で顧客にサービスを提供」 という記述までで、日本が含まれるかどうかは書かれていません。 複数の解説サイトは日本を対象外として説明していますが、それらは一次情報ではありません。
そのうえで、日本の読者にとって確認材料になる事実が1つあります。
ロビンフッドは、金融庁が公表している無登録業者の一覧に掲載されていません。 金融庁は「警告書の発出を行った無登録の海外所在業者」 というPDFを公表しており、2026年8月15日時点で15社が掲載されていますが、ロビンフッドはその中にありません。
ただし、掲載が無いことは「日本で使える」という意味ではありません。 この一覧は、日本の居住者に向けて無登録で勧誘を行った業者に警告書を出した記録です。 日本向けに勧誘していない事業者は、そもそも掲載されません。
したがって、次のような整理になります。
- 日本で正式に提供されているという公式の案内は、確認できていない
- 金融庁の無登録業者一覧には載っていない
- 「日本からでも買える」という案内を第三者から受けた場合、それがどの経路の話なのかを確かめる必要がある
国内の「株式トークン」とは別のものです
日本にも「株式のトークン化」の話はありますが、制度上の位置づけが違います。
日本では2020年施行の改正金融商品取引法で「電子記録移転権利」という区分が新設され、 ブロックチェーン上で移転する有価証券は金商法の規制対象として扱われる形になりました。 いわゆるSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)はこの枠組みで行われており、 発行や販売には金商法の開示規制・業規制がかかります。
暗号資産の制度そのものについても、2025年12月に金融審議会のワーキング・グループが報告書を公表し、 2026年に所要の法改正が行われる見通しと報じられています。
一方、今回のロビンフッドの株式トークンはジャージー法人が発行する債券性の証券であり、 日本の金商法の枠組みの中で日本の投資家向けに組成されたものではありません。 同じ「株式トークン」という言葉でも、中身と保護の枠組みが別です。
確認のポイント
「株のトークンが買える」という案内を目にしたときに、確認材料になる項目を並べます。
- 株そのものなのか、値動きに連動する別の商品なのか。発行体は誰か
- 議決権や株主の権利があるか。無い場合、何に対する権利なのか
- どの国の法人が発行し、どの国の規制に服しているか
- 日本の居住者が対象に含まれているか。発行体自身の公式案内で確認できるか
- 日本の金融商品取引業の登録があるか。金融庁の免許・許可・登録等を受けている業者一覧で確認できます
- 発行体が破綻した場合に、その請求権がどう扱われるか
投資詐欺の勧誘では、海外で話題になっている新しい仕組みの名前が使われることがあります。 手口の型については投資詐欺の手口とは?、 リスク全般についてはコピトレ・投資のリスクについてにまとめています。
現時点で確定していないこと
- 日本の居住者が株式トークンを利用できるかどうか。公式の対応国一覧に日本が含まれるかは確認できていません
- 日本の税務上、この商品の損益がどの区分で扱われるか
- 2026年に予定されている暗号資産関連の法改正が、この種の商品にどう及ぶか
(本記事の確認日:2026年8月15日)
AGITOの立場
AGITOは投資の学習コミュニティであり、株式トークンの取り扱いはしていません。 この記事は制度と発表内容の整理であって、特定の商品の売買を勧めるものではありません。
投資には損失のリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行っていただく必要があります。 元本が保証される仕組みではありません。 本記事は制度に関する一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。 ご自身の申告内容については税理士にご確認ください。
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