国内の暗号資産取引所で、送り先のアドレスを新しく登録した直後は、そのアドレスへ送れないという制限が入りました。
GMOコインは2026年8月29日から、宛先の審査完了メールを送った時点から24時間、その宛先への送付を止めます。ビットポイントも8月26日から、新しく登録した送付先へは一定期間出金できない扱いを始めました。
各社が告知で挙げている目的はそれぞれ違います。GMOコインは詐欺被害の防止、ビットポイントは資産保護と不正出金の防止、SBI VCトレードはセキュリティ強化です。どの告知も、具体的にどんな被害の場面を想定しているか、制限がどう働くかまでは説明していません。
「送れない」ときの原因の候補に、登録直後の制限期間が加わったことになります。GMOコインの場合、送付できるようになる時刻は会員ページの宛先リストに表示されます。
この記事で分かること
- GMOコインの制限(24時間・対象・除外されるもの)
- ビットポイントの制限(2種類)
- SBI VCトレードで先に入っていた本人確認
- 同時期に公表された金融庁・警察庁の要請(11項目のうち3つが出庫関係)
- 各社の告知に書かれていないこと
各社・各官庁の公表資料の記載を整理したものであり、特定の投資判断や資産の移動を推奨するものではありません。
「仮想通貨が出金できない」の原因が1つ増えた
今回確認した3つのサービスは、いずれも暗号資産を外部へ送る前に送り先のアドレス(宛先)を登録する手順を前提としています。
2026年7月から8月にかけて、この送り先アドレスの登録まわりを厳しくする変更が公表されました。今回確認できたのは、2社が公表した3件の告知です(BITPOINTサービスとVCTRADEサービスは、いずれもSBI VCトレード株式会社が提供しているサービスです)。
3件は同じ内容ではありません。GMOコインとビットポイントは登録後の出庫制限、VCTRADEサービスは登録時の本人確認の強化です。
| サービス | 公表日 | 内容 |
|---|---|---|
| SBI VCトレード(VCTRADEサービス) | 2026年7月10日 | 出庫先アドレスの登録時に、本人確認書類の提出を求める場合がある |
| GMOコイン | 2026年8月25日(適用は8月29日11:00〜) | 宛先の審査完了メール送信時点から24時間、その宛先への送付を制限 |
| ビットポイント(BITPOINTサービス) | 2026年8月26日(同日適用) | 新しい送付先への一定期間の出金制限+同時に申請できる出金件数の上限 |
| コインチェック(2026年9月13日追記) | 2026年9月10日(適用は9月15日予定) | 新しく登録した送金先アドレスへの送金を一定期間制限。制限期間は非公開・早期解除なし |
このうち、送れない時間帯が生じるのはGMOコインとビットポイントの2件です。残高が足りない・メンテナンス中といった従来の理由とは別の、新しい「送れない理由」が加わったことになります。
GMOコインは「審査完了メールから24時間」
GMOコインは2026年8月25日、暗号資産の送付先アドレス(宛先)ご登録後の送付制限を公表しました。
同社の告知によると、開始日時は2026年8月29日(土)11:00(同日のメンテナンス後)です。
制限の内容は、同社の記載では次のとおりです。
宛先をご登録いただいた場合、「宛先リスト審査完了のお知らせ」メールをお送りした時点から24時間が経過するまでの間、当該宛先へのご送付を制限いたします。(24時間経過後以降、当該宛先へご送付いただけるようになります。)
起点が「登録した時点」ではなく「審査完了のお知らせメールを送った時点」である点が、告知に明記されています。
同社が挙げている注意点は次の3つです。
- メンテナンス直前に審査が完了した宛先について、メンテナンス終了後に審査完了メールが送られる場合も制限対象
- 過去に登録したことのある宛先と同一のアドレスを再度登録する場合も制限対象
- 宛先登録の手続き自体は、これまでと変わらない
一方、これまでどおり送付できるものとして、同社は「すでに登録している宛先への送付」と「NACレンディング」を挙げています。つまり、制限がかかるのは新しく登録した宛先です。
会員ページの【入出金】−【暗号資産】の宛先リストには、送付が可能になる時刻が表示され、その時刻までは宛先を選択できないとされています。
同社は目的について「特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺及びフィッシング詐欺等による被害を防止するため」と記載しています。また、身に覚えのない「宛先リスト審査完了のお知らせ」メールを受け取った場合は、問い合わせフォーム(不正利用に伴う口座凍結依頼)から至急連絡するよう案内しています。
ビットポイントは制限が2種類
ビットポイントは2026年8月26日、暗号資産の出金に関する制限を公表しました。適用開始日は同じ2026年8月26日です。
同社が挙げているのは2つです。
1. 同時に申請できる出金件数の制限
暗号資産の出金について、同時に申請できる件数に上限を設ける、というものです。同社は「上限件数に達している場合、処理中の出金申請が終了するまで、新たな出金申請はできません」と記載しています。
2. 新しい送付先への出金制限
新しい送付先(アドレス、宛先タグ(メモ))を登録した場合、一定期間その送付先への出金を制限する、というものです。同社は、登録済みの送付先について、アドレスまたは宛先タグ(メモ)を変更した場合も同様に制限の対象になるとしています。
同社は目的を「お客様の資産保護および不正出金の防止」としています。
上限件数と「一定期間」の具体的な数値は、この告知に記載がありません。GMOコインが24時間と明記しているのとは異なる書き方になっています。
SBI VCトレードでは登録時の本人確認が先に入っていた
SBI VCトレードは2026年7月10日、出庫先アドレス登録時の本人確認についてを公表しています。
同社の記載は「セキュリティ強化の一環として、出庫先アドレスの登録時に本人確認書類のご提出をお願いする場合がございます」というもので、時間による制限ではなく、登録時の確認を強める内容です。提出が必要な場合は、登録時に画面に表示される案内に従って手続きするとされています。
追記(2026年9月13日)|コインチェックも9月15日(予定)から新規登録アドレスへの送金を制限
コインチェック株式会社は2026年9月10日、暗号資産の送金に関するセキュリティ強化のお知らせを公表しました。同社の告知によると、2026年9月15日(予定)から、新しく登録した送金先アドレスへの送金に一定期間の制限がかかります。既に登録済みのアドレスへの送金には影響がなく、制限期間の短縮(早期解除)は受け付けないとしています。
GMOコインが24時間と明記しているのに対し、コインチェックは具体的な制限期間を「セキュリティ上の理由により非公開」としています。また、この告知は金融庁・警察庁の2026年8月6日の要請に明示的に言及しており、この点は下で扱う3件の告知とは異なります。
同時期に公表された金融庁・警察庁の要請|11項目のうち3つが出庫関係
金融庁は2026年8月6日、暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化についてを公表しました。
同庁の記載によると、これは8月6日に、金融庁が一般社団法人日本暗号資産等取引業協会に対して、警察庁と連名で、対策を改めて要請したものです。挙げられている項目は11あり、そのうち出庫(送付)に関するものは次の3つです。
- 法定通貨入金後又は暗号資産購入後の一定期間の暗号資産の出庫制限
- 出庫先の事前登録制及び登録後一定期間の暗号資産の出庫制限
- 出庫限度額の適切な設定
要請の全体像は金融庁の暗号資産11項目要請とは?出庫制限と税制改正の現在地で扱っています。
ここで確認が必要な点があります。今回確認した3つの告知は、いずれもこの要請に言及していません。各社が告知で明示している目的は、GMOコインが詐欺被害の防止、ビットポイントが資産保護と不正出金の防止、SBI VCトレードがセキュリティ強化です。要請の項目と各社の実施内容は同じ方向を向いていますが、告知の文面から両者の関係を確認することはできません。この記事も、要請が各社の対応の原因であるとは書いていません。
各社の告知に書かれていないこと
- ビットポイントの「一定期間」と「上限件数」 — 数値の記載がありません
- 要請との関係 — 前述のとおり、3つの告知とも要請に言及していません
- 他の交換業者の対応 — 執筆時点で確認したのは、GMOコインとSBI VCトレードの2社が公表した3件の告知です。その後、コインチェックが2026年9月10日に同種の制限を公表しました(上の追記)。bitFlyer・bitbank など、それ以外の交換業者が同種の制限を導入しているかどうかは確認していません
- 制限の解除条件や例外 — GMOコインは既登録の宛先とNACレンディングを除外していますが、ビットポイントの告知に除外の記載はありません
現時点で未確定の事項
- ビットポイントの制限の具体的な内容 — 数値が公表されていないため、実際に何時間・何件なのかは告知から確認できません
- 各社が今後さらに制限を追加するか — 要請には出庫限度額の設定も含まれていますが、今回確認した3つの告知に限度額の変更は含まれていません
- BITPOINTサービスの制限が、VCTRADEサービスへの移管後にどうなるか — 今回確認した告知に記載はありません
この記事のまとめ
- GMOコインが2026年8月29日11:00から、宛先の審査完了メール送信時点から24時間、その宛先への送付を制限しています。既登録の宛先とNACレンディングは対象外です
- ビットポイントは2026年8月26日から、新しい送付先への一定期間の出金制限と、同時に申請できる出金件数の上限を導入しました。この告知には具体的な数値が記載されていません
- SBI VCトレードは2026年7月10日に、出庫先アドレス登録時の本人確認書類の提出を求める場合があると公表しています
- 金融庁は2026年8月6日、警察庁と連名でJVCEAに11項目の対策強化を要請しており、うち3項目が出庫に関するものです。ただし今回確認した3つの告知はこの要請に言及していません
- 送付できない場合の原因の候補として、登録後の制限期間と、会員ページに表示される送付可能時刻があります
- (9月13日追記)コインチェックも2026年9月15日(予定)から、新しく登録したアドレスへの送金を一定期間制限します。制限期間は非公開です
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確認日: 2026年9月4日(2026年9月13日にコインチェックの告知を追記)。本記事は各社・各官庁の公表資料の記載を整理したものです。暗号資産の取引には価格変動をはじめとする各種のリスクがあり、損失が生じる可能性があります。
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