仮想通貨(暗号資産)のコピトレ(コピートレード)は、取引所のアプリで「リードトレーダー」などと呼ばれる人を選び、その人の売買を自分の口座でまねる仕組みです。この機能を前に出して宣伝しているのは、主に海外の暗号資産取引所です。
「日本から使えるか」は、アプリが開けるかどうかでは決まりません。分かれ目は2つあります。1つは、その取引所が日本の登録を受けているか。もう1つは、取引所の側が日本に住む人を利用者として受け付け続けるかです。2026年は、コピトレの機能を持つ海外の取引所が、日本に住む人向けのサービスを終える例も出ています。
この記事では、日本の登録の仕組み、金融庁の警告の一覧の読み方、撤退のときにコピトレがどう止まるか、税金の扱いを、公表資料をもとに整理します。特定の取引所やトレーダーは推しません。コピトレ全体の仕組みはコピトレ(コピートレード)とは?仕組み・費用・詐欺の見分け方で解説しています。
この記事で扱うこと
「仮想通貨 コピトレ」で出てくる解説を5本読みました(海外取引所の紹介ブログ、比較サイト、報道など)。多くは、仕組み・手軽さ・手数料・取引所の紹介が中心でした。日本の登録の仕組みに触れていたのは1本だけで、撤退や相談先に触れたものはありませんでした。
この記事では、次の点を足しました。
- 金融庁の警告の一覧(海外の業者22行)を数え直した結果(AGITO集計)
- 海外の取引所が日本向けのサービスを終えるとき、コピトレがどの段階で止まるか(Bitgetの公表資料から)
- 2026年に成立した法律の改正と、暗号資産の税金の改正が、海外の取引所でのコピトレにどう関わるか
仮想通貨のコピトレには「現物」と「先物」の2つの形がある
取引所によって、まねる取引の種類が違います。
| 形 | まねる取引 | 日本で業者に求められる登録 |
|---|---|---|
| 現物のコピー | 暗号資産そのものの売り買い | 暗号資産交換業の登録(資金決済法) |
| 先物のコピー | デリバティブ(証拠金をあずけてレバレッジをかける取引) | 金融商品取引業の登録(金融商品取引法。2020年5月1日から) |
先物の形は、資金より大きな額を動かせる分、相場が逆に動いたときの損も大きくなります。たとえば10万円で10倍なら100万円分を動かすので、1%逆に動くだけで1万円(資金の10%)が減ります。
なお、2026年7月15日に「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、7月23日に公布されました。暗号資産の取引の決まりを金融商品取引法にまとめる内容です。この部分の施行は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。AGITOが10月10日に金融庁のページで確認した範囲では、その日付はまだ示されていませんでした。
日本の登録を受けた業者は27社。名前が似た「国内の会社」に注意
金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」には、2026年9月1日現在で27社が載っています。
この一覧には、海外の大手と名前の似た会社もあります。たとえば Binance Japan株式会社、Gate Japan株式会社、オーケーコイン・ジャパン株式会社、Coinbase株式会社です。これらは日本で登録を受けた国内の会社で、海外の本体とは別の会社です。海外の本体のアプリやサイトで取引するときは、国内の会社の登録の範囲には入りません。
金融庁は、海外の業者についても次のように書いています。
海外の事業者であっても、日本の居住者に対して暗号資産交換業を行うのであれば、金融庁に登録が必要になります。
確認項目
- 取引する相手の会社名(アプリやサイトの運営会社)が、登録一覧の会社名と一致しているか
- 同じブランド名でも、口座を開いた先が国内の会社か海外の本体か
- コピトレの機能が、現物の売り買いか、先物(レバレッジのある取引)か
金融庁の警告の一覧に、コピトレで名前の出る取引所が並ぶ
金融庁は、日本に住む人を相手に登録なく暗号資産交換業を行っていた業者に警告書を出し、一覧で公表しています。海外の業者の一覧を、AGITOが2026年10月10日に数え直しました。
- 一覧は22行。いちばん新しいのは2026年9月の Izakaya Limited(IZAKA-YA)
- 22行のうち11行は、2回以上警告を受けた5つの業者の行(AGITO集計)
| 業者(一覧の記載) | 運営しているサービス(一覧の記載) | 警告の時期 |
|---|---|---|
| Bybit Fintech Limited | Bybit | 2021年5月、2023年3月、2024年11月 |
| Bitget Limited | Bitget | 2023年3月、2024年11月 |
| MEXC Global | MEXC | 2023年3月、2024年11月 |
| Binance、Binance Holdings Limited | Binance | 2018年3月、2021年6月 |
| Bitforex Limited | BitForex | 2020年6月、2023年3月 |
| KuCoin | KuCoin | 2024年11月 |
| LBank Exchange | LBANK | 2024年6月 |
Binance は、2018年の行は「Binance」、2021年の行は「Binance Holdings Limited」の名前で載っています。どちらも代表者の記載が同じなので、ここでは同じ業者として数えました。
同じ業者に、年をあけて繰り返し警告が出ています。警告を受けた後も、日本語のサイトやアプリが開ける状態が続く例があるということです。
一覧の読み方には、金融庁自身が2つの注意を書いています。
掲載されていない者であっても、無登録交換業に該当する行為を行っていることがあり得ます
掲載されている無登録業者について、必ずしも、現在の無登録営業の状況を示すものではありません。
つまり「一覧に無いから登録がある」とは読めません。確かめる順番は、まず登録一覧に載っているか、次に警告の一覧に名前が出ていないか、です。
金融庁は、先物(デリバティブ)を扱う無登録の業者についても、別の一覧「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」を公表しています。
登録の無い業者で取引すると、何が違うのか
金融庁は、登録の無い業者について次のように書いています。
登録のない業者は、金融庁や財務局による検査・監督の対象ではなく、また、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)も利用できないなど、利用者保護を図ることができません。
コピトレで考えると、次のような場面が国内の仕組みの外になります。
- コピーした取引の成立した価格や手数料に納得がいかないとき、国内の業界団体に申し出る道が無い
- 取引所が出金を止めたり、条件を変えたりしたとき、国内の当局の監督の対象ではない
- コピー元のトレーダーの成績表示が正しいかを、国内のルールで確かめる仕組みが無い
金融審議会の報告書(2025年12月)は、日本語のサイトで日本に住む人に勧誘している海外の無登録業者に対して、「警告・公表やアプリストアへの削除要請といった対応が行われている」と書いています。アプリが今日使えても、配信のされ方が変わることがあります。
撤退するとき、コピトレはどの段階で止まるか(Bitgetの例)
コピトレの機能で知られる Bitget は、2026年8月3日に、日本に住む人向けのサービスを段階的に終えると公表しました。FAQ(10月10日に確認)には、次の日程が書かれています。
| 日時(日本時間) | 内容 |
|---|---|
| 2026年8月3日 | 日本に住む人の新規登録を受け付けない |
| 2026年11月1日 11時 | 日本の居住者とみなされた口座が「決済専用モード」になる。制限付きの入金と資産の出金などを除き、新しいポジションを持つことも増やすこともできない |
| 2026年12月31日 11時 | 残っているポジションをすべての商品で強制決済し、カードサービスを止める。暗号資産の出金の機能は続く |
FAQは、決済専用モードの対象として、現物の売り買い・先物・利用者どうしの売買(P2P)・資産運用・カードサービスと並べてコピートレード(copy trading)と取引ボットを挙げています。
コピトレの利用者にとっての要点は3つです。
- 11月1日から、コピーで新しい取引が増えることは無くなる。すでに持っているポジションは、閉じる方向の操作だけになる
- 12月31日の時点で残っているポジションは、利用者の操作を待たずに閉じられる。どの価格で決済されるかは公表資料に書かれていない
- 「コピー元が決済するまで待つ」という使い方は、期限の前で終わる
Bitget の日程の詳しい整理はBitgetが日本居住者向けサービスを終了へにまとめています。
撤退の例から見えること(AGITO集計)
AGITOは、海外の取引所の撤退や出金の停止を海外取引所の撤退・出金停止まとめに集めています。2026年7月23日〜9月24日に発表された撤退・サービス終了の5件では、次のことが分かりました。
- 告知から終了までは、短いもので13日、長いもので189日。13日・62日・90日・98日・189日とばらついた
- 5件中4件で、終了後の出金に手数料・期限・個別の審査のいずれかが付いていた
- 終了は日本向けだけとは限らない。5件のうち3件は、取引所全体の終了だった
コピトレは、自分で取引の画面を見ていなくても動き続けます。そのため、取引所からのお知らせに気づくのが遅れやすい使い方でもあります。
確認項目
- 取引所からのお知らせ(メール・アプリの通知)を受け取る設定になっているか
- 日本向けのサービスの終了や、居住者の確認についての告知が出ていないか
- 出金の手順、出金にかかる日数と手数料を、資金を入れる前に確かめたか
- コピーを止める操作と、持っているポジションを閉じる操作が別になっていないか
税金:海外の取引所でのコピトレは、今は総合課税
国税庁のFAQは、暗号資産の売り買いの利益を原則として雑所得としています。証拠金取引(先物)についても、FXと違って申告分離課税の対象から除かれていて、「総合課税の対象になります」と書いています。総合課税は、給与などと合わせた所得の額で税率が決まる方式です。
2026年3月31日に成立した税法の改正で、暗号資産の利益を20%(所得税15%・住民税5%)で分けて課税する仕組みが作られました。ただし、条件があります。
- 対象は「暗号資産取引業者に対して」、金融商品取引業者の登録簿に名前のある暗号資産を売ったときなどに限る書き方になっている
- 適用は、上で触れた金融商品取引法などの改正法の施行日が属する年の、翌年1月1日から。その施行日はまだ示されていない
海外の登録の無い取引所でのコピトレは、この新しい仕組みの対象としては書かれていません。登録の有無で、同じ利益でも税金の計算のしかたが変わる可能性があるということです。
コピトレの利益にかかる税金の全体はコピトレの税金と確定申告で整理しています。個別の申告は、税務署や税理士に確かめる内容になります。
リスク・注意点
- コピトレは、相手の取引の結果がそのまま自分の口座に出る仕組みです。相手が損をすれば自分も損をし、資金が減ることがあります。暗号資産は値動きが大きく、先物の形ではさらに損が大きくなることがあります
- 登録の無い業者は、日本の当局の検査・監督の対象ではありません。出金が止まったときなどに、国内の利用者保護の仕組みを使えません
- 海外の取引所は、日本向けのサービスを短い期間で終えることがあります。その場合、コピーしていたポジションが期限に強制決済されることがあります
- 「出金するには保証金や税金が必要」と言われて、追加の支払いを求められる被害が多発していると、金融庁が注意を呼びかけています。出金のための支払いを求められる話は、詐欺の典型の形と重なります。見分け方はコピートレードは詐欺?で解説しています
- SNSやマッチングアプリで知り合った相手に、取引所やコピー先を勧められて被害に遭う例も、金融庁が挙げています
- 困ったときの相談先として、金融庁は、トラブルの解決なら弁護士や近くの消費生活センター、だまされたと考えるときは近くの警察を挙げています。金融庁の「金融サービス利用者相談室」も情報提供を受け付けています
この記事のまとめ
- 仮想通貨のコピトレの機能を前に出しているのは、主に海外の取引所です。「日本で使えるか」は、登録の有無と、取引所が日本に住む人を受け付け続けるかで分かれます
- 日本の暗号資産交換業者の登録は27社(2026年9月1日現在)。海外大手と名前が似た国内の会社は、海外の本体とは別の会社です
- 金融庁の警告の一覧(海外の業者22行)では、11行が2回以上警告を受けた5つの業者の行でした(AGITO集計)
- Bitget は、2026年11月1日からコピートレードを含めて決済専用にし、12月31日に残ったポジションを強制決済すると公表しています
- 海外の取引所でのコピトレの利益は、今は総合課税です。新しい20%の分離課税は、登録を受けた業者との取引に限る書き方になっています
この記事に出てくる言葉
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- デリバティブ
- 元になる資産(暗号資産・通貨など)の値動きをもとに損益が決まる取引。先物や証拠金取引がこれに当たる。
- レバレッジ
- あずけた資金(証拠金)より大きな額の取引をすること。10倍なら、10万円で100万円分を動かせる。
- ポジション
- 売買して、まだ決済していない取引のこと。持っている間は値動きに合わせて損益が変わる。
- 強制決済
- 利用者の操作を待たずに、取引所の側がポジションを閉じること。
- 総合課税
- 給与など他の所得と合算して、全体の額で税率が決まる方式。
出典(2026年10月10日確認)
- 金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」(令和8年9月1日現在) https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf
- 金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」(海外所在業者) https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/angoushisan_mutouroku.pdf
- 金融庁「暗号資産・電子決済手段関係」 https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/index.html
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku.html
- 金融庁 金融サービス利用者相談室「相談事例(暗号資産)」 https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/advice05.html
- 金融庁「国会提出法案等」(金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案) https://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html
- 金融庁「法律案要綱」 https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/02/04.pdf
- 参議院「議案情報」(第221回国会・成立日・公布日) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221057.htm
- 金融庁「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について」(2020年4月3日) https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200403/20200403.html
- 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告」(2025年12月10日) https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20251210/01.pdf
- Bitget「FAQ – 日本居住者の皆様への重要なお知らせ」 https://www.bitget.com/ja/support/articles/12560603890271
- Bitget「重要なお知らせ:日本居住者の皆様への重要なご案内」(2026年8月3日) https://www.bitget.com/ja/support/articles/12560603890270
- 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf
- 財務省「第221回国会における財務省関係法律」(所得税法等の一部を改正する法律) https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/index.html
- 財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/st080220y.pdf
※本記事は投資に関する一般的な知識の提供を目的としたもので、特定の商品・サービスの利用や売買を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。
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