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暗号資産の取引に「居住地国の届出書」が必要|2026年1月から・すでに口座がある人の期限は12月31日【2026年9月】

2026 9/26
金融ニュース
2026.09.14 2026.09.26
監修:佐藤 翔(証券会社に約20年勤務)
運営:株式会社シンセイサービス(AGITO編集部)/運営者情報・編集方針

編集部メンバー:なってぃ|AGITO編集部(Xプロフィール)

暗号資産の取引をしている人は、取引所に対して「自分がどの国に住んでいることになっているか」を書いた届出書を出すことになりました。2026年1月1日から始まっている制度です。

2026年1月1日以後に新しく取引を始める人は、取引を行うときに出します。2025年12月31日の時点ですでに取引していた人は、2026年12月31日までに出すと定められています。

税率が変わる話ではありません。取引所が国をまたいで税務情報をやりとりするための土台づくりで、実際に外国の税務当局へ情報が渡るのは、居住地国が特定の外国になっている人です。

取引所によっては「届出書」という紙が出てくるわけではなく、登録情報の確認画面に置き換えられている場合があります。

この記事で分かること

  • 何が決まったのか(根拠・施行日・対象になる事業者)
  • 自分は届出書を出す対象なのか、期限はいつまでか
  • 居住地国が日本の人も出すのか
  • 出さなかった場合に条文がどう書かれているか(罰則の対象は限定されています)
  • 取引所の画面では何が起きるのか
  • この件が示していること

本記事は国税庁および暗号資産交換業者の公表資料の記載を整理したものであり、個別の税務相談に応じるものではありません。具体的な申告・納税の判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

目次

何が決まったのか

国税庁は「暗号資産等報告枠組み(CARF)に基づく自動的情報交換に関する情報」(CARFコーナー)で、この制度の概要を公表しています。

同庁の説明によると、暗号資産等を利用した脱税等のリスクが顕在化したことを受けて、OECDが「暗号資産等報告枠組み(CARF:Crypto-Asset Reporting Framework)」という国際基準を公表し、日本を含む各国がその実施を約束しました。各国の税務当局は、自国の暗号資産交換業者等から非居住者に係る暗号資産等取引情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づいて、その非居住者の居住地国の税務当局へ情報を提供します。

日本での根拠と時期は次のとおりです。

項目国税庁の記載
根拠令和6年度税制改正
施行令和8年(2026年)1月1日
届出書を出す先国内に所在する暗号資産交換業者等
交換業者等からの報告令和9年(2027年)以後、毎年4月30日までに所轄税務署長へ
報告の対象居住地国が特定の外国である方の暗号資産等取引情報

届出書を出す相手となる「暗号資産交換業者等」は、リーフレットで次のように定義されています。資金決済に関する法律第2条第16項に規定する暗号資産交換業者、同条第12項に規定する電子決済手段等取引業者、金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者です。

自分は届出書を出す対象になるのか、期限はいつまでか

国税庁のリーフレット「~暗号資産等取引を行う方へ~ 暗号資産交換業者等との間で暗号資産等取引を行う際は、居住地国等を記載した届出書の提出が必要です!」に、提出者と提出時期の表が載っています。

届出書提出者提出時期
新規届出書令和8年1月1日以後、新たに国内の暗号資産交換業者等との間で暗号資産等取引を行う方新たに暗号資産等取引を行う際
新規届出書令和7年12月31日において国内の暗号資産交換業者等との間で暗号資産等取引をしている方令和8年12月31日まで
異動届出書届出後に、記載した居住地国等について異動を生じた方異動を生じた日から3月を経過する日まで

対象は個人だけではありません。リーフレットは提出者を「自然人、法人、組合等」としています。上場法人や国・地方公共団体などを除く法人(「特定法人」)については、その法人の実質的支配者の居住地国等も届出書に記載する必要があるとされています。

届出書に書く内容は、氏名・住所・生年月日(法人の場合は名称と本店等の所在地)、居住地国名、居住地国が外国である場合はその国の納税者番号、住所と居住地国が異なる場合の事情の詳細などです。

なお国税庁のFAQでは、同じ交換業者に対して「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度」(CRS)の届出書をすでに提出している場合、一定の要件のもとで、CARFの新規届出書を提出したものとみなされるという整理が示されています(Q12)。

居住地国が日本の人も出すのか

出す必要があります。リーフレットの注記に、次のように書かれています。

居住地国が日本である方も、居住地国名として「日本」と記載が必要となります。ただし、その場合、マイナンバー(個人番号)の記載は必要ありません。

FAQでも同じ点が確認されています。Q7「特定対象者の居住地国が報告対象国以外(例:日本)である場合、新規届出書を提出する必要がありますか」への答えは、「居住地国を判定する必要があることから、居住地国が報告対象国であるか否かを問わず、該当する全ての記載事項を記載した新規届出書を提出する必要があります」です。

一方で、届出書を出すことと、情報が外国へ渡ることは同じではありません。リーフレットが報告の対象としているのは「暗号資産等取引を行う方の居住地国が特定の外国である場合」です。居住地国が日本のみである人の取引情報が、この制度によって外国の税務当局へ提供される、という書き方にはなっていません。

ただし、居住地国が日本ひとつとは限りません。リーフレットには、「日本」と「外国」の双方が税務上の居住地国に該当する方は、租税条約上の「双方居住者振分けルール」の適用の有無にかかわらず、本制度上は「日本」と「外国」のいずれも居住地国に該当する、と注記されています。日本に住んでいても、外国の法令でその国の税制上の居住者に当たる場合は、外国も居住地国になります。この場合は、その外国についての届出・報告の対象になり得ます。

日本国内の取引が日本の税務署へ報告される仕組みについては、別の制度(取引報告書の提出義務)として整備が進んでいます。こちらの適用時期は金融庁の暗号資産11項目要請とは?出庫制限と税制改正の現在地【2026年8月】で扱っています。CARFと取引報告書は別の制度です。

出さなかったらどうなると書かれているか

FAQに2つの記載があります。

ひとつは、交換業者側での代替ができないことです。Q8では、新規届出書の提出をしなかった者について、交換業者等が保有する情報に基づいて住所等所在地国と認められる国・地域を特定する手続は設けられていないとされ、「特定することは認められません」と書かれています。CRSにはある手続が、この制度にはないという整理です。

もうひとつが罰則です。Q22には次のように書かれています。

新規届出書を暗号資産等取引の際(令和7年12月31日において報告暗号資産交換業者等との間でその営業所等を通じて暗号資産等取引をしている者については令和8年12月31日まで)に報告暗号資産交換業者等の営業所等の長に提出せず、若しくは新規届出書等に偽りの記載をして報告暗号資産交換業者等の営業所等の長に提出した者又は電磁的方法により偽りの事項を提供した者(居住地国が外国である者に限ります。)は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されることとされています(実特法13④)。

括弧書きのとおり、この罰則の対象は居住地国が外国である者に限ると明記されています。居住地国が日本のみである人について、この条文がそのまま当てはまるとは書かれていません。ただし届出書の提出義務そのものは、Q7のとおり居住地国を問わず課されています。また前の節のとおり、日本と外国の双方が居住地国に該当する人は、本制度上は外国も居住地国になります。

口座が凍結される、取引ができなくなる、といった記載は、国税庁の一次情報には見当たりませんでした。

取引所の画面では何が起きるのか

「届出書」という書面を郵送する形とは限りません。交換業者がどう受け付けるかは各社の実装によります。

今回確認できたのは2社です。Zaifは2026年9月11日に「暗号資産等報告枠組(CARF)に関するご案内」を公表し、同社ではお客様による基本情報の登録・更新操作を、届出書の提出として取り扱っていると説明しています。同社の案内から、対応が分かれる区分は次のとおりです。

区分同社の案内
2025年12月31日以前に口座開設した方2026年1月1日以降の初回ログイン時に、現登録情報に相違ないか確認するダイアログが表示される。回答と、必要なら基本情報の更新をもって届出書の提出として取り扱う。法令上、2026年12月31日までの対応が求められる
居住地国(税務申告を行う国)が日本以外の方税務情報として納税者番号の登録が必要
居住地国と住所国(実際に住んでいる国)が異なる方税務情報として、異なる理由の登録が必要
登録情報の確認が必要と判定された方メールで連絡がある

同社は、パスワード等のアカウントセキュリティにかかわる事項を同社が直接尋ねることはないとして、フィッシングやなりすましへの注意も案内しています。

もう1社はbitFlyerです。同社は制度の施行前にあたる2025年12月29日に「実特法に基づく届出書提出に関するお知らせ」(PDF)を公表しています。同社も届出書を紙でやりとりする形ではなく、届け出るべき情報をオンライン上で提供する方法で実施すると記載しています。区分は次のとおりです。

区分同社の記載
2026年1月1日以降に新たに口座を開設する方口座開設時に届出書の提出が必要
2025年12月31日時点で口座を持っている方2026年2月末まで(予定)に届出書の提出に関する案内をする。その案内の内容を確認のうえ、2026年12月31日までに提出

同社の注意事項には、期日までに提出がなかった場合の記載もあります。「届出書の提出は、法令に基づく手続きのため、提出期日までにご提出いただけない場合は、bitFlyer サービスのご利用に制限が生じる可能性があります」とされています。届出書は登録済みの本人情報をもとに作成されるため、本人情報が最新でない場合は先に更新手続きが必要になる、という記載もあります。

2社とも、届出をオンラインで完結する方式として案内しています。ただし書き方には差があります。Zaifは基本情報の登録・更新の操作そのものを届出書の提出として取り扱うと明記しており、bitFlyerは「届出いただくべき情報をオンライン上でご提供いただく方法」と記載しています。既存の口座を持つ人の期限が2026年12月31日である点は、2社とも一致しています。

この2社以外の国内交換業者がどう受け付けているかは、この記事では確認していません。利用している取引所での扱いは、その取引所のお知らせページやアカウントの登録情報画面で確認できます。

この件が示していること

海外の取引所を使っている人にとっては、逆方向の記載のほうが関係します。リーフレットの注記には、日本から特定の外国へ情報提供を行うとともに、その外国からも日本に対し、その外国の暗号資産交換業者等が保有する日本の居住者の暗号資産等取引情報が提供されると書かれています。そのうえで、日本の居住者が特定の外国に所在する暗号資産交換業者等と取引を行う場合には、その外国の法令に従って、居住地国等を記載した届出書が求められることがありますとしています。

この枠組みは、日本が単独で作ったものとしては説明されていません。国税庁は、OECDがCARFという国際基準を公表し、日本を含む各国がその実施を約束したと記載しています。日本国内の制度としては、「取引所が利用者の居住地国を把握し、当局間でその情報を交換する」という組み立てが導入されました。他国それぞれの実施状況は、この記事では確認していません。

もうひとつ、制度の段階が分かれている点も、この件の特徴です。届出書の提出(2026年1月〜)、交換業者等からの報告(2027年以後、毎年4月30日まで)、当局間での情報交換と、時期が順にずれています。「制度が始まった」という言葉が、そのまま「情報がもう渡っている」を意味するわけではありません。

現時点で未確定の事項

  • Zaif・bitFlyer以外の国内交換業者が、届出書の提出をどの操作に置き換えているか(今回は確認していません)
  • 2026年12月31日の期限までに届出をしなかった場合に、各社が口座の利用にどう対応するか(bitFlyerは「サービスのご利用に制限が生じる可能性があります」と記載していますが、制限の内容は示されていません。国税庁の一次情報には、口座の利用に関する記載を確認できていません)
  • 「特定の外国」として実際に報告対象となる国・地域の範囲(FAQでは報告対象国という用語で説明され、個別の国名はこの記事では確認していません)

この記事のまとめ

  • 令和6年度税制改正により、2026年1月1日から、国内の暗号資産交換業者等と取引する人は、居住地国等を記載した届出書を交換業者等へ提出することになりました
  • 2025年12月31日の時点で取引していた人の期限は、2026年12月31日までです。2026年1月1日以後に新たに取引を行う人は、その取引を行う際に提出します
  • 居住地国が日本の人も「日本」と記載して提出します。その場合、マイナンバーの記載は不要とされています。日本と外国の双方が居住地国に該当する人は、本制度上はどちらも居住地国になります
  • 外国の税務当局へ情報が提供されるのは、居住地国が特定の外国である人の取引情報です。交換業者等からの報告は2027年以後、毎年4月30日までに行われます
  • 未提出・虚偽記載に対する罰則(6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)は、条文上居住地国が外国である者に限ると明記されています
  • 届出書をどの操作として受け付けるかは、利用している交換業者の案内で確認することになります。今回確認できたのはZaifとbitFlyerの2社です。bitFlyerは、期日までに提出がなかった場合にサービスの利用に制限が生じる可能性があると記載しています

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  • 電子決済手段等取引業者とは?金融庁の登録一覧は国内2社、コインチェックが追加【2026年8月】

出典: 国税庁「暗号資産等報告枠組み(CARF)に基づく自動的情報交換に関する情報」、同リーフレット(令和7年12月)、同FAQ(令和7年9月・令和8年3月最終改訂)、Zaif「暗号資産等報告枠組(CARF)に関するご案内」(2026年9月11日)、bitFlyer「実特法に基づく届出書提出に関するお知らせ」(2025年12月29日)。

確認日: 2026年9月15日。本記事は国税庁および暗号資産交換業者の公表資料の記載を整理したものであり、個別の税務相談に応じるものではありません。具体的な申告・納税の取扱いは税理士または所轄の税務署にご確認ください。暗号資産の取引には価格変動をはじめとする各種のリスクがあり、損失が生じる可能性があります。

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