暗号資産の取引所は、アプリを入れてサイトを開けば使えるもの。そう思っていませんか。お隣の韓国では、届け出のない事業者について、その入口をふさぐことが決まりました。
韓国の金融当局が10月13日、BingX・MEXC・KuCoin など、韓国に届け出ないまま営業していた暗号資産事業者27社のサイトについて、韓国国内からの接続を遮断することが決まったと発表しました。実際にいつから遮断されるかは、発表に書かれていません。アプリはすでに、韓国ではストアからの新しいインストールと更新が止められています。今回はそれをサイトにも広げる決定です。
27社を日本の金融庁の警告の一覧と突き合わせると、載っているのは KuCoin・MEXC・Zoomex の3社で、BingX はどちらの一覧にも載っていません(2026年10月13日確認)。
この記事で分かること
- 韓国が10月13日に何を発表したか(遮断が決まった27社)
- 日本からの利用に関係するか、BingX は金融庁の一覧に載っているか
- 27社のうち、日本の金融庁の一覧に載っている3社
- 韓国の対応の経過(取引の制限→捜査機関への通報→アプリ→サイト)
何が起きたか:韓国が「届け出のない」事業者27社のサイト遮断を決定
韓国の金融委員会の金融情報分析院(FIU)は2026年10月13日、報道参考資料「不法な仮想資産取扱業者(特金法上、届け出のない仮想資産事業者)のインターネットサイトの国内接続が遮断されます」(韓国語)を公表しました。
発表の中身は次のとおりです。
- FIU がこれまで遮断を求めてきたサイトのうち、いま運営されている27件について、韓国の放送メディア通信審議委員会が10月6日と7日の2回の審議を経て、国内からの接続遮断(国内にある事業者はサービス利用の終了)を決めた
- サーバーや運営者が韓国国内にあれば「サービス利用の終了」、海外にあれば「接続遮断」
- アプリは、FIU の要請で Google・Apple などのストアが、すでに韓国での新しいインストールと更新を止めている。今回の決定で、サイトにも遮断が広がる
- 今後は、利用者の被害の届け出がなくても、不法な営業を見つけしだい審議を経てサイトを遮断する方針
発表は決定を伝えるもので、実際に遮断が始まる日は書かれていません。
遮断が決まった27社
発表の別紙2に載っている27社です(表記は原文のまま)。発表はこれらを「届け出のない仮想資産事業者」としており、すべてが海外の取引所とは限りません。
| 区分 | 事業者名 |
|---|---|
| 英字表記(21社) | Kucoin/MEXC/Phemex/XT.com/Bitrue/CoinW/ZoomEX/Poloniex/BTCC/DigiFinex/Pionex/Blofin/Apex Pro/WEEX/BitMart/KCEX/BingX/P2B/Nonkyc.io/SUPEREX/Xgram |
| 韓国語表記(6社) | 코인솔루션/신밧드솔루션/탭비트/코인마이/빅원/유비트 |
なぜ「不法」とされるのか
韓国で暗号資産(韓国では「仮想資産」)の事業をするには、情報セキュリティの認証(ISMS)などの要件を満たして、FIU に届け出(韓国語で「申告」)をする必要があります。届け出をしないまま営業すると、5年以下の懲役または5,000万ウォン以下の罰金の対象です。
海外の事業者でも、韓国の人を相手に営業していれば同じ法律(特定金融取引情報の報告及び利用等に関する法律=特金法)が適用されます。FIU は、海外の事業者が韓国で営業しているかを、次の点を総合して判断するとしています。
- 韓国語のホームページがあるか
- 韓国の人を集めるイベントなどの宣伝をしているか
- ウォンでの支払いに対応しているか
届け出を済ませた事業者は、発表の時点で28社です。
発表は、届け出のない事業者を使うリスクとして、個人情報の流出やハッキングに加え、手数料の高さも挙げています。発表が「2026年6月」として引いている、韓国の取引所の団体(DAXA)と届け出済みの事業者による合同の集中調査の結果では、見つかった業者の平均取引手数料は1.5〜10%で、韓国の大手5つのウォン建て取引所の平均(0.16%)の最大62倍だったとしています。
自分に関係があるか:日本の利用者はどうなる?
日本からの利用は変わる?
今回の決定は、韓国国内からの接続を対象にしたものです。韓国の発表には、日本など韓国の外からの接続についての記述はありません。日本から各社のサイトやサービスにつながるかどうかは、この発表からは分かりません。
遮断の対象になった事業者の既存の利用者について、FIU は、引き出しで不便が生じた場合は、事業者の協力のもとで DAXA を通じて引き出しの方法と手順を案内すると書いています。
BingX は金融庁の一覧に載っている?
日本の金融庁は、無登録で営業しているとして警告書を出した業者の名前を公表しています。一覧は2つあります。
- 暗号資産の売買・交換など:「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」
- FX・CFD などのデリバティブの勧誘など:「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
2026年10月13日に、韓国の27社をこの2つの一覧と突き合わせた結果です。
| 事業者 | 韓国(今回の遮断) | 金融庁の暗号資産の一覧 | 金融庁の金融商品取引業の一覧 |
|---|---|---|---|
| KuCoin | 対象 | 令和6年11月に掲載 | 令和8年3月に掲載(店頭デリバティブ取引の勧誘) |
| MEXC | 対象 | 令和5年3月・令和6年11月に掲載 | 令和7年6月に掲載(同上) |
| Zoomex | 対象(ZoomEX) | 掲載なし | 令和8年9月に掲載(同上) |
| BingX | 対象 | 掲載なし | 掲載なし |
| 残りの23社 | 対象 | 掲載なし | 掲載なし |
※金融商品取引業の一覧は「警告書の発出を行った無登録業者」(令和8年9月25日更新)と「警告書の発出を行った無登録の海外所在業者」の2つで照合しました。照合は、一覧にある業者名・サービス名と、韓国の発表の事業者名(表記ゆれを含む)で行っています。運営する会社まで同じと確かめたものではありません。韓国語表記の6社は、一覧に同じ名前が見当たりませんでした。
BingX は、金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」(PDF・令和8年9月1日現在)にも載っていません。KuCoin・MEXC も同じです。
金融庁は、一覧について次の2点を注意書きしています。
- 載っていない業者でも、無登録の営業にあたる行為をしていることがありうる
- 載っているのは警告書を出した時点の状況で、いまの営業の状況を示すものとは限らない
つまり、一覧に名前がないことは、登録を受けていることを意味しません。登録を受けている業者は、金融庁の登録業者の一覧に載ります(今回確認した一覧は令和8年9月1日現在のものです)。
日本で使っている取引所が撤退したら
海外の取引所が日本居住者向けのサービスを終えたり、取引所そのものを閉じたりする例は、2026年に入って続いています。各社の期限と出金の受付は「海外取引所の撤退・出金停止まとめ」に一覧にしています。今回の韓国の27社に入っている BitMart は、2026年8月26日にすべての取引サービスを止め、2027年1月31日にプラットフォームの運営を終える予定と発表しています(日本居住者に限った終了ではありません。「BitMEXが9月23日に閉鎖、BitMartは2027年1月終了へ」)。
この件が示していること:韓国は「被害を待たずに遮断」へ
韓国の対応の経過
発表に書かれている経過を、日本の金融庁の一覧の動きと並べます。
| 時期 | 韓国 | 日本(金融庁の一覧) |
|---|---|---|
| 2022年8月17日 | FIU が KuCoin・MEXC などを捜査機関に通報 | |
| 2023年3月 | MEXC を暗号資産の一覧に掲載 | |
| 2024年5月 | 届け出のない事業者から、クレジットカードで暗号資産を買えなくする制度改正(施行令の改正) | |
| 2024年11月 | KuCoin・MEXC を暗号資産の一覧に掲載 | |
| 2025年6月 | MEXC を金融商品取引業の一覧に掲載 | |
| 2026年1月12日 | FIU が BingX を捜査機関に通報 | |
| 2026年3月 | KuCoin を金融商品取引業の一覧に掲載 | |
| 2026年9月 | Zoomex を金融商品取引業の一覧に掲載(過去の記事) | |
| 2026年10月6〜7日 | 放送メディア通信審議委員会が27件の接続遮断を決定 | |
| 2026年10月13日 | FIU が遮断を発表 |
※アプリのストアでの制限が始まった時期は、発表に書かれていません。
韓国は、届け出のない事業者に対して、①届け出済みの事業者に取引(暗号資産の移転)を制限させる、②捜査機関に通報する(これまでに44社)、③アプリとサイトへの接続を遮断する、という手段を重ねてきました。発表は今回の決定の意味を、捜査の結果や具体的な被害の確認を待たずに、見つけた時点で利用者のアクセスを遮断できるようになったことだとしています。
発表は「紹介する側」にも触れている
韓国の発表は、利用者向けの注意事項の中で、紹介(レファラル)にも触れています。
レファラル(推薦)リンクを通じた加入のあっせんは、単なる広告を超えて届け出のない営業を手助けした行為と評価されうるとし、推薦者も刑事処罰の対象となる余地があると書いています。これは韓国の特金法のもとでの説明です。
ほかに、高い収益や元本の保証、公開されていない情報、グローバルな上場などを掲げる虚偽・誇大広告について、詐欺の可能性を疑うよう注意を促しています。
同じ名前が、両方の国の一覧に
KuCoin と MEXC は、韓国では2022年に捜査機関へ通報され、日本では暗号資産と金融商品取引業の両方の一覧に載っています。Zoomex も、日本では2026年9月に金融商品取引業の一覧に加わり、韓国では今回の遮断の対象になりました。
一方で BingX は、韓国では2026年1月に捜査機関へ通報され、今回の遮断の対象になりましたが、日本の金融庁の一覧には、10月13日の時点で載っていません。
あなたが使っている取引所の名前は、どちらかの国の一覧に載っていましたか。
現時点で未確定の事項
- 遮断が実際にいつから効くか(発表は審議での決定を伝えるもので、遮断の開始日は書かれていない)
- 日本から各社のサイト・サービスにつながるかどうか(発表は韓国国内からの接続についてのもの)
- 対象の各社が、韓国の利用者向けのサービスをどう扱うか(各社の告知はこの記事の確認時点で調べていない)
- 住所を変えた代わりのサイトについて、追加の審議をいつ・どこに求めるか(FIU は代わりのサイトも点検して追加の審議を求めるとしているが、対象と時期は公表されていない)
- 日本の金融庁が、今回の27社について新たに警告書を出すかどうか
出典・確認日
- 韓国 金融委員会(金融情報分析院)報道参考資料「불법 가상자산 취급업자(특금법상 미신고 가상자산사업자) 인터넷 사이트 국내 접속이 차단됩니다.」(2026年10月13日)・別紙1「捜査機関への通報名簿(44社)」・別紙2「今回の接続遮断決定の名簿(27社)」
- 金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」(警告書の発出を行った無登録業者・令和8年9月25日更新)
- 金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」(令和8年9月1日現在)
確認日: 2026年10月13日。本記事は公表された資料の記載を整理したものです。韓国の発表は韓国語の原文から要旨を訳しています。
この記事のまとめ
- 韓国の金融当局(FIU)は2026年10月13日、届け出のない暗号資産事業者27社のサイトについて、韓国国内からの接続遮断が決まったと発表しました。実際に遮断が始まる日は書かれていません
- 対象には BingX・MEXC・KuCoin・Zoomex・BitMart などが入っています。アプリは、すでに韓国ではストアでの新しいインストールと更新が止められていました
- 発表は韓国国内からの接続についてのもので、日本からの接続には触れていません
- 今後は、利用者の被害の届け出がなくても、不法な営業を見つけしだい審議を経てサイトを遮断する方針です
- 発表は、レファラル(推薦)によるあっせんについて、推薦者も刑事処罰の対象となる余地があると書いています(韓国の法律での説明)
- 27社のうち、日本の金融庁の一覧に載っているのは KuCoin・MEXC・Zoomex の3社です。BingX は載っていません(10月13日確認)
- 金融庁の一覧に名前がないことは、登録を受けていることを意味しません
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※本記事は公表された資料・発表の内容を整理した一般的な情報提供であり、特定の個人・団体・商品・サービスの利用や解約を勧めるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。税務の取扱いについては税理士に、法律上の論点については弁護士にご確認ください。
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